ポルシェ919ハイブリッドがテキサスでも1-2フィニッシュ
LM P1レース、FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦、テキサス州オースティン(米国)
ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:オリバー・ブルーメ)のLMPチームは、米国テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されたFIA世界耐久選手権(WEC)第6戦において1-2フィニッシュを飾り、世界選手権のリードをさらに広げました。
選手権を先導するル・マン覇者のアール・バンバー(ニュージーランド)/ティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)組は、首位でサーキット・オブ・ジ・アメリカズのゴールを駆け抜けました。33℃の外気温と40℃のコース温度の下で6時間にわたって繰り広げられたレースでポールポジションからスタートした現世界チャンピオンのニール・ジャニ(スイス)/アンドレ・ロッテラー(ドイツ)/ニック・タンディ(英国)組はレースの大半を牽引しましたが、ゴール直前にランキング上位のチームメイトと首位を入れ替え、2位でチェッカーフラッグを受けました。ファステストラップはジャニが9周目(全192周)に記録した1分47秒149でした。
この結果によってポルシェ919ハイブリッドは、2014年のデビュー以来、17回目のレース優勝、7回目の1-2フィニッシュと11回目のファステストラップを記録しました。ポルシェは今年、この革新的なプロトタイプによる最後のシーズンを完璧な結果で終えることを目標にしています。ル・マン24時間レースを3連覇したチームは、マニュファクチャラーズとドライバーズの世界選手権タイトルの3連覇を狙います。マニュファクチャラーズ世界選手権において、現在ポルシェは242ポイント、トヨタは168.5ポイントです。ドライバーズランキングでは、バンバー/ベルンハルト/ハートレー(159ポイント)がトヨタのドライバー(108ポイント)との差を広げています。ジャニ/ロッテラー/タンディは4位(90ポイント)につけています。
COTAのレースでは、過酷な暑さのためレギュレーションによってステアリングを握るドライバーの最高連続ドライブ時間が80分に制限され、スタート前にダブルスティントが出来ないことが明らかになりました。919ハイブリッドは1回の給油で30周、つまり約57分間走行することが可能です。
1号車のレース運び
ポールポジションからスタートしたジャニは10秒以上のリードを奪い、30周の後に、新品タイヤに交換してロッテラーに引き継ぎました。トヨタは最初のストップでタイヤ交換を行わず、ロッテラーは3番手に後退します。47周から52周まで、トヨタ7号車のホセ・マリア・ロペスと熱戦を繰り広げた後、ロッテラーは2番手を維持しました。60周後のピットストップで変わってステアリングを握ったタンディはユーズドタイヤでの走行ながらもトップに立ちます。91周でジャニが再度ステアリングを握り、タイヤ交換を行ったにもかかわらず首位を維持します。123周の後にタイヤ交換なしで引き継いだロッテラーも首位の座を守りました。次のピットストップ直前にトヨタ7号車(小林可夢偉)と接触しますが、2台はそのまま走り続けます。153周でタンディに交代したあと、ドライバー選手権をリードする2号車に逆転され、2番手に後退しました。174周の最終ストップで給油したタンディは再び首位に立ちますが、残り4周となった時点で選手権ランキングを考慮して2号車に首位を譲り、2位でゴールしました。
2号車のレース運び
2番手からスタートしたベルンハルトは1周目に2台のトヨタに抜かれ、29周後に最初のピットストップで新品タイヤに交換してハートレーに引き継ぎました。トヨタはタイヤ交換を行なわずハートレーは4番手に後退しますが、53周でトヨタ7号車のホセ・マリア・ロペスをオーバーテイクします。59周後に3番手でバンバーに引き継ぎ、トヨタのタイヤ交換が長引いたため再度2番手に浮上しました。スティント終了間際に小林可夢偉が前に出ますが、バンバーが巻き返します。90周でタイヤ交換の後、再びベルンハルトに変わりますが、トヨタがタイヤ無交換でピットアウトしたため4番手に後退します。97周から100周までセーフティカーが出動して、ギャップが詰まります。中盤を超えた104周で、ベルンハルトはトヨタ7号車のマイク・コンウェイの追撃に成功し、トヨタのタイヤ交換によってポルシェが再度首位に立ちます。121周の後にハートレーが2番手で引き継いだ後、151周でコースに戻ったバンバーは154周目に先頭のポルシェ1号車をオーバーテイクします。173周の後、最終ストップの給油で10秒差の2番手に後退しますが、188周(全192周)目に1号車がレースの優勝をバンバーに譲りました。
レース後のポルシェLMPチームのコメント
LM P1担当副社長 フリッツ・エンツィンガー:「熾烈な戦いの結果、手強いトヨタに4連勝できました。信じられないような暑さの中でハードなレースになりました。ポルシェAG、ヴァイザッハとここにいるLMPチーム、そしてすばらしいドライバーに感謝します。マニュファクチャラーズとドライバーズの両方の選手権タイトルを獲得するという我々の目標にまた一歩近づくことができました」
チーム監督 アンドレアス・ザイドル:「昨日のポールポジションに続き、今日もポルシェ1号車のドライバーは最高のレースをしました。彼らが優勝に値することは間違いありません。タイトルの獲得に向けてさらに一歩前進した919ハイブリッド2号車を祝福したいと思います。今日はトヨタと接戦でした。ドライバーとチームのミスのない完璧なパフォーマンス、完璧に走る車、そして適切な判断によって、高温のレースを制することができました。タイヤパートナーのミシュランと協力してバルセロナで行った炎天下でのテストが効果を挙げました。週末の全てのレースに改良されたパッケージを使用しました。すぐに富士の準備を始めます。次戦もトヨタとの接戦が予想されます」
ポルシェ919ハイブリッド1号車のドライバー
ニール・ジャニ(33歳、スイス):「スタートを含む最初のスティントでは予選のタイヤを使用しましたが、好調でした。先頭は少し孤独でしたが10秒以上リードすることができました。1周遅れの車のオーバーテイクはトラフィックが難しくて、熱でタイヤにストレスがかかりました。2回目のスティントではセーフティカーが出動してリードが消滅しました。新しいタイヤのポテンシャルを生かすことはできませんでしたが、その後もう一度ギャップを築くことが出来て安心しました。2号車に首位を譲ることはレース前から決めていました」
アンドレ・ロッテラー(35歳、ドイツ):「今日のレースはハードでした。アンダーステアが強かったので、それを補うためにセッティングを変更しました。最初のスティントは、トヨタのホセ・マリア・ロペスを相手に2番手を守りました。彼はブースをかけ続けてポジションを守りながら、トップを走るもう一台のトヨタを援護したのです。2回目のスティントの終了直前、残り2時間の時点で小林可夢偉と接触がありました。幸いなことに接触はコーナーの後半で起きたため、919ハイブリッドの4WDを活かして加速し、無事にコーナーを駆け抜けました。タフなレースでした」
ニック・タンディ(32歳、英国):「3番目だった最初のスティントは、ニュータイヤではなかったので不安でした。しかしペースは安定してリードを保つのに十分な競争力がありました。他のチームメイトのスティントの方がエキサイティングだったようです。すばらしい結果を出したポルシェ チームとお祝いしたいと思います。ピットクルーは今日も完璧な仕事をしました。ペースも速く、すべてがうまくいきました」
ポルシェ919ハイブリッド2号車のドライバー
アール・バンバー(27歳、ニュージーランド):「今日は1号車が勝っていました。トヨタからの激しい挑戦にもかかわらずミスのない見事なパフォーマンスを見せました。富士でも強敵であることは間違いないので、気を緩めることはできません。今日は車も好調で、スティントを楽しむことができました」
ティモ・ベルンハルト(36歳、ドイツ):「再び1-2フィニッシュという素晴らしい結果でしたが、今日はトラフィックの処理に苦労しました。スタートのスティントはうまくいかず、車の挙動が予想と違い形勢が不利になりました。2回目のスティントは2台のトヨタを相手にしてマイク・コンウェイをオーバーテイクすることができました。もちろんドライバーズ選手権でフルポイント獲得できたの嬉しいことですが、優勝に相応しいのは1号車でした」
ブレンドン・ハートレー(27歳、ニュージーランド):「この結果はチームの尽力のおかげです。ポルシェの2台はトヨタと白熱したレースを繰り広げました。いつもと異なる今日のタイヤ戦略は興味深いものでした。2番目と5番目のスティントを走りましたが、ミスもなく好調でした」
また911 RSRでGTE-Proクラスに参戦するポルシェワークスチームは、クラス最下位のグリッドからのスタートだったにも関わらず、優勝したライバルとからわずか5秒遅れの2位でチェッカーを受けポディウムに昇りました。前戦メキシコシティのレースで2位に入り、ドライバー選手権で2位につけたミカエル・クリステンセン(デンマーク)/ケヴィン・エストル(フランス)は2度のドライブスルーペナルティーを受け6位でレースを終えました。
FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦(全9戦中)は10月15日(日)に日本の富士スピードウェイで開催されます。
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