電通の海外子会社カラが、世界の広告費成長率予測の定期改定を実施
株式会社 電 通
電通の海外子会社カラが、世界の広告費成長率予測の定期改定を実施
●2015年の世界の広告市場の成長率は前年比3.9%増(実績)
●2016年の世界の広告市場は前年比4.5%増(2015年9月予測では4.7%増)の5,380億ドル、2017年も4.5%増と予測
●2016年の日本の広告市場は、2016年が1.8%増(同1.6%増)、2017年が1.1%増と予測
●デジタルシフトがさらに加速し、世界の広告市場に占めるデジタル広告費の構成比率は、2016年に27.0%(同26.5%)、2017年に29.3%へ
電通の海外子会社でメディア・コミュニケーション・エージェンシーであるCarat(カラ)は、年に2回(3月と9月)、全世界59地域から収集したデータを基に、世界の広告費成長率予測を行っています。今回の改定では2015年9月に予測した2015年の広告費成長率の実績、2016年の成長率予測の改定と、新規に2017年の成長率を予測しています。世界各地の広告市場の方向性を見る上で重要な指標とみなされている本予測から、本リリースでは、全世界59地域トータル、および主要地域/国に関する推計値をお知らせします。
■主なポイント
【2015年の世界の広告費成長率(実績)】
・2015年の世界の広告市場の成長率は、2015年9月の予測から0.1%低い前年比3.9%増となりました。
・地域別にみると、北米は前回予測から微増し4.3%増、西ヨーロッパは英国および回復基調にあるスペインの高い成長により、全体では2.8%増となりました。また、中央および東ヨーロッパでは厳しい経済環境が続き、3.0%のマイナス成長となりました。アジアパシフィックは、実績が前回予測を下回った日本などの影響もあり、3.6%増と前回予測(4.1%増)を下回りました。ラテンアメリカは、ブラジルは前回予測を上回ったものの、地域全体としては経済の減速感から前回予測(12.7%増)を下回る11.0%増となりました。
【2016年の世界の広告費成長率(2015年9月時予測を改定)】
・2016年の世界の広告市場は、2015年9月予測の4.7%増からわずかに下方修正し、4.5%増と予測。主な要因は、中国・ブラジル経済の減速によるものです。その結果、2016年の世界の広告費は対2015年比で230億ドル増加し、5,380億ドルに達すると見ています。この背景には、UEFA欧州サッカー選手権、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック、米国大統領選などの大型イベントが続くことがあります。また2017年にも同じく4.5%の成長を見込んでいます。
・7つの対象媒体で算出される世界の広告市場では、テレビ広告費が最大のシェアを占め、2016年に構成比41.4%(前回予測は41.3%)、2017年に40.7%になると予測しています。一方、モバイルやオンラインビデオ、SNSの広告費の増加に見られるデジタルシフトの加速により、デジタル広告費の構成比は2016年に27.0%(前回予測は26.5%)、2017年には29.3%へと伸長すると予測しています。
・地域別にみると、2016年の世界の広告市場は世界的にポジティブであり、北米が4.6%増、西ヨーロッパが 3.1%増、2015年に唯一マイナス成長(3.0%減)であった中央および東ヨーロッパが2.2%増、アジアパシフィックが4.4%増、ラテンアメリカが10.5%増とすべての地域がプラス成長になると予測しています。
■地域別内訳
【北 米】
・世界第1位の広告市場である米国は、大統領選やリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックによるキャンペーン効果に支えられ、2016年は4.7%増(前回予測は4.5%増)の2,040億ドル規模になると予測しています。大型イベントがない2017年もデジタル広告がけん引し、4.0%増の安定した成長が見込まれます。
・米国では2016年のテレビ広告費は2.9%増となり、広告費全体の38%を占める最大のメディア・セグメントであり続けます。
・一方、米国ではモバイル向けや動画の広告が伸張しており、2016年のデジタル広告費は15.9%増になると見ています。2018年には、デジタル広告費がテレビ広告費を追い抜く見通しです。
・カナダの広告市場は、デジタル広告がけん引し、2016年、2017年ともに3.0%増と、2015年実績の2.5%増を上回ると見ています。
【西ヨーロッパ】
・2014年以降、プラス成長へと転じていた西ヨーロッパでは、2016年、2017年ともに3.1%増の安定した成長を見込んでいます。2016年の西ヨーロッパの広告市場は919億ドル規模となります。
・2016年にけん引役となる国は、英国、スペイン、スウェーデン、アイルランド。一方、フランス、スイス、ノルウェーでは低成長が予想されます。
・英国の広告市場は2015年は6.0%増と高い成長率を示しましたが、2016年も、UEFA欧州サッカー選手権、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックなどによる効果で、6.2%もの成長が期待されます。構成比で既にトップのデジタル広告費は2桁成長し、2016年には市場全体の51.3%、2017年には54.5%を占めると予測しています。
・ドイツでは巡航速度での市場成長が続きます。2015年の1.8%増に続き、2016年にも1.8%増、2017年に1.7%増になると見ています。
・フランスの広告市場は4年連続でマイナス成長となりましたが、2016年はUEFA欧州サッカー選手権のホスト国であるなどプラス要因もあり、成長トレンドに転換しています。その結果、2016年、2017年ともにプラスの成長を予測しています。
・スペインでは2015年12月の総選挙の結果、政治・経済面での安定性が不安視される見方もあり、2016年の成長率は前回予測の6.9%増から5.3%増へと下方修正しています。
【中央および東ヨーロッパ】
・中央および東ヨーロッパにおける2016年の広告費成長率は、前回予測の1.6%増から2.2%増へと上方修正。ポーランド、トルコ、ハンガリーがけん引すると見込んでいます。
・2015年には9.8%減となったロシアの広告費は、原油価格の低迷や地政学的な不安定感が続くため、2016年の成長率は0.2%増にとどまり、本格的な回復は2017年からになる見通しです。
【アジアパシフィック】
・アジアパシフィック地域で2016年の広告費成長率を前回予測より下方修正した市場は、中国、オーストラリア、韓国、台湾、マレーシアです。一方、日本は上方修正しています。アジアパシフィック地域の2016年の広告費は、世界の広告費の33.8%と1/3以上を占めるようになります。
・世界第2位の広告市場である中国の2016年の広告費は、経済情勢に鑑み、前回予測の6.5%増から微減し5.8%増と予測していますが、今後も5~6%の安定した成長が続くと見ています。2016年の中国の広告市場は、815億ドル規模になると見込んでいます。メディア別では、トップシェアを誇るテレビ広告費は2016年には1.7%増、またスマートフォンの普及・拡大でモバイル向けの広告が好調なデジタル広告費は26.4%増を見込んでいます。
・インドの広告市場は高成長が続く見通しです。同国で人気のあるクリケットのワールドカップが開催される2016年には12.0%増、2017年にも13.9%増を予測しています。
・世界第3位の広告市場である日本については、広告市場は引き続き緩やかな成長が持続すると見ており、2016年の成長率は1.8%増(前回予測は1.6%増)、2017年は1.1%増を見込んでいます。
【ラテンアメリカ】
・ラテンアメリカは2016年と2017年の成長見通しが最も高い地域となっています。インフレの影響で広告市場の成長率の上昇が予測されるアルゼンチンや、安定した経済成長が見込まれるメキシコやコロンビアなどの貢献により、ラテンアメリカ全体では2016年、2017年ともに2桁の成長が見込まれます。
・一方、ブラジルの広告市場は2016年のリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの効果があるものの、経済の減速感から2016年の成長率については下方修正(8.4%増→6.8%増)しており、本格的な回復は2017年からになると見ています。
以 上
(注)Carat(カラ)は同社の世界ネットワークを通して収集した情報に基づき、59地域の広告費の成長率を独自に分析・推計しています。対象媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館広告(シネアド)、屋外/交通広告、デジタルが含まれます。
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