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「一帯一路」構想を支える5つの輸送ハブ


コルガスゲートウェイ(カザフスタン)
マワシェビチェ(ポーランド)
天府新区
バクー新港(アゼルバイジャン)
香港セントラルアジアハブ
TOKYO, Jul 3, 2019 - (JCN Newswire) - 「未来がやってくる、一帯一路でやってくる(The future’s coming now, the Belt and Road is how)」中国の国営新聞、中国日報(チャイナ・デイリー)のミュージックビデオに合わせて、子供たちの元気の良い歌声が響きます。

世界貿易の未来をうたい、数十億ドル規模の貿易やインフラ投資プロジェクトを進める壮大な構想は、参加各国の投資が本格化して建設作業も始まり、実現に向けて順調な進展を見せています。

2013年に発表された「一帯一路(Belt and Road Initiative)構想(BRI)」は、アジアからヨーロッパを通じ、65カ国に及ぶ経済回廊をつなぐネットワークを構築しようとするもので、世界人口の62%、世界全体の国内総生産(GDP)の30%を占めることになります。

陸路で中国から欧州につながるルート(一路)と、中国から東南アジアや南アジアへのびるルート(一帯)に加えて、中国から欧州、アフリカまで伸びる海運ルートに沿って新たに建設される港湾をつなぐことで、BRIはアジア、欧州、アフリカの一部を含めた無数の市場を結ぶことになります。

BRIの原動力の基盤となるのが交通です。

ユーラシア大陸の物流を支える大動脈として鉄道が再び脚光を浴びる一方、BRIに沿って空輸や道路輸送の整備も進み、新たに中国西部から中央アジアや中東地域に通じる総延長数千キロメートルに及ぶ高速道路や数十もの空港が建設されています。これらが一体となって新しいマルチモーダルなシッピングプラットフォームの基盤を形成し、サプライチェーンの破壊的革新を進め、拠点間の製品の移動のあり方を根本的に変えようとしています。ここではモノの移動方法を変え、ユーラシア大陸全域の物流のあり方を変えるカギとなっている、BRIに沿った5カ所のマルチモーダルな輸送ハブを紹介します。

1. コルガス(カザフスタン)

コルガスは5年前まで存在しない都市でした。当時はカザフスタンと中国の国境ステーション近くに広大な砂丘が広がり、雪を頂いた山々が点在するだけの場所でした。

単に辺鄙な場所というだけでなく、ここはユーラシア大陸の最も奥深くの「到達不可能な場所」、つまり陸上で最も海から遠い場所にあり、この場所こそ、かの古代ギリシャの歴史家、ヘロドトスが北風の起源として、鷲の頭と翼、獅子の胴体を持つ不思議な生き物の棲む神秘的な土地と呼んだほどの場所だったのです。

コルガスがHorgos(ホルゴス)と呼ばれていた時代、この土地は古代シルクロードの重要な拠点として栄えたものの、この交易ルートの衰退と共に、都市もまた滅びました。

2013年に中国が「一帯一路構想」を発表したことを受け、カザフスタンは2014年に打ち出したNurly Zhol(光明の道)政策に沿って道路、鉄道、港湾のインフラの近代化に90億ドル(80.3億ユーロ)を投入し、コルガスに新たな息吹を吹き込みました。砂から掘り起こされて新たな意義を注入された都市は、この2つのイニシアチブのいずれにとっても不可欠な拠点になったのです。

中国とカザフスタンの国境側には新たに大規模な物流拠点、コルガス市内には産業区域と居住区域が建設され、国境沿いに2国間のフリー貿易ゾーンが伸びています。その背景にあるのは、かつてのシルクロードの栄華を復活させようという思いです。

コルガスはほんの数年で、国や市場、人々の間の通商の要所として再び確立されました。コルガスは北にロシア、南にパキスタンやインド、東に中国、西にはコーカサス、トルコ、さらには欧州と、いずれも21世紀初めから台頭してきた豊富な市場が控えています。

カザフスタンのコルガスには5,740ヘクタールに及ぶ経済特区が設けられ、ここにドライ・ポートのコルガスゲートウェイがあります。鉄道貨物の載せ替えターミナルを含めたこの複合施設は、2015年秋に初めての列車が到着して以降、2017年には3台のガントリークレーンの下、20フィートコンテナ換算(TEU)で年間10万個の積み荷の上げ下ろしが行われるまでになりました。

今やコルガスゲートウェイはカザフスタンのトランスユーラシアネットワークにおける主要通商拠点となり、中国の成都、蘇州、鄭州、欧州のデュイスブルグ、ワルシャワ、ハンブルグと並び建つようになっています。
コルガスの復興の兆しを確かなものにしたのが、先頃、中国の中国遠洋運輸集団(COSCO Shipping)と連雲港市がドライ・ポートの施設の49%を取得したことです。これによって、さまざまな企業からコルガス・イースタンゲート特別経済区への投資を続々と呼び込んでいます。

2. マワシェビチェ(ポーランド)

ポーランドとベラルーシの国境に位置し、EUと中央アジアとロシアにまたがるCIS(独立国家共同体)が接する場所にあるマワシェビチェは、コルガスからの貨物を欧州側で引き受ける役割を担っています。

コルガスで標準軌(1435mm)から広軌(1520mm)の鉄道路線に積み替えられたコンテナは、マワシェビチェで再び標準軌の貨車に積み替えられ、欧州各地へ向けて輸送されます。

マワシェビチェのメインターミナルはポーランド政府の管轄下にある鉄道輸送会社PKPカーゴによって運営されています。他にもEuroport、DHLがそれぞれ運営する2つの民間の国際ターミナルがあり、取扱貨物量を拡大させています。コルガス同様、中国と欧州の間の軌間変更に伴う鉄道貨物の積み替えのための物流拠点となったことが、マワシェビチェの経済を幅広く拡大させました。

PKPカーゴのターミナルの近くには40ヘクタールに及ぶ関税免除の自由貿易地域が設立され、製造業や物流関連のさまざま企業が入ったフリーゾーンはすでに始動しています。

さらに工場群やドライ・ポート以外にも、マワシェビチェ近郊のコビラニで新都市の建設も進んでおり、ここで3万人分の住居を提供して、一気に拡大の様相を見せるこの地域の運輸・経済を支えようとしています。

3. 成都(中国)

中国西部地域の開発を推進する中央政府の戦略を背景に、中国南西部に位置する四川省の省都、成都はBRIの主要物流拠点として、目覚ましい発展を遂げてきました。

成都はこの10年間、安い土地と低賃金の労働力、天府新区をはじめ国の主導で進められた「新区」開発事業を背景に、先端産業の集積地として急速に注目されるようになりました。

現在、成都にはIntel、IBM、GE、Microsoft、Siemens、Volkswagenといったフォーチュン・グローバル500にランクされる企業が軒並み進出しており、中国におけるハイテク研究開発の主要拠点の1つにもなっています。さらに、「一帯一路」構想全体の中でも主要拠点に位置付けられており、2022年に1,630億ドルを投じた新たな産業集積地が完成すれば、その重要性は一層高まることが予想されます。

こうした多国籍企業が中国の東部沿岸地域の都市から西部の成都に移転するにあたり、新たに直面したのが物流面での問題でした。欧州へ製品を輸送するにあたって、港のある海岸部から1,700kmも離れているという成都の立地は明らかに問題でした。

この問題に取り組むため、成都は2013年に欧州との国際定期貨物列車の運行を開始し、ポーランドのウッチと成都をつないで、製品をわずか10日間で輸送できるようになりました。その後、2014年には成都-中央アジア高速鉄道が開通したほか、2018年5月にはDHLとRail Cargo グループとの間で成都の鉄道ネットワークをオーストリアのウィーンまで延長することを合意しました。

その結果、成都は今やアジア最大の鉄道輸送基地になっています。

鉄道だけでなく、成都は航空貨物についても重要なハブになっており、成都双流国際空港は194都市との間で252路線を運航し、年間の貨物取扱量は557,000トンに及ぶなど、貨物量および旅客数で中国中西部最大の空港になっています。2020年に新たに天府国際空港が加わることで、航空運輸の面でも一層飛躍を遂げようとしています。

4. アルヤト(アゼルバイジャン)

中国と欧州のほぼ中間に位置し、東西南北の主要な回廊が交差するアルヤトでは新たにバクー新港の建設が進められており、今後、BRIの延長上にあるシルクロード経済ベルトにおける重要な拠点になろうとしています。

この港は最終的に2,500万トンのバルク貨物の処理能力を備え、年間100万TEU以上の貨物を扱うことを目指す壮大な計画の下で建設されています。

カスピ海に面するアルヤトは大規模な自由経済区域の中で海運、鉄道、陸上交通のすべての機能を提供することを目指しています。

新港は欧州と中央アジアや中国をつなぐ欧州-コーカサス-アジア輸送回廊(TRACECA)に沿って位置する上、マルチモーダルな新たな輸送路として新たに台頭してきた、インドとロシアを結ぶ南北の輸送回廊までをつなごうとしています。中間輸送回廊としても機能し、カスピ海を経由して中国と欧州をわずか15日間で結ぶことで、シルクロード経済ベルトの重要な原動力となっています。

2017年10月にはバクー・トビリシ・カルス(BTK)鉄道が営業を開始しています。アルヤトのバクー新港からジョージアを経由してトルコのカルスまでを結ぶ総延長846kmのこの鉄道が開通したことによって、これまで寸断されていたシルクロード経済ベルトの中間輸送回廊がつながり、貨物を鉄道によってカスピ海沿岸まで輸送し、フェリーでカスピ海を横断して、そこから対岸の各地へと送ることが可能になりました。

現時点でBTK鉄道は旅客100万人、貨物500万トンの年間輸送能力を備えており、複線化が完了すれば貨物輸送量を3倍に拡大することを見込んでいます。

5. 香港

香港は長年、中国の世界への玄関口としての役割を果たしてきており、BRIによってその地位をさらに確立しようとしています。

香港は、大陸を横断する巨体経済圏を構築するという中国の壮大な構想にとって、金融サービスや経済の面で重要な基盤を提供するだけでなく、中国本土の物流にとっても重要な輸送基盤を提供しています。

BRIに沿った航空輸送基地としての香港国際空港の重要性はすでに至る所で語られており、DHL Express アジア太平洋地区CEO、ケン・リー(Ken Lee)は、香港を「中国が世界に出荷するあらゆるモノにとっての国際的ゲートウェイ」であると称しているほどです。

香港はBRIの参加42カ国と協定を結んだことで、世界の半分の人口に5時間以内に到達できるというこの空港のユニークな立地が一層強く活かされることになっています。また香港国際空港内にはDHLのセントラルアジアハブもあり、専用機23機を保有して1日800便の商用貨物便を運航しています。

現在、香港からは年間450万トンの貨物が空輸されており、第3滑走路が完成するとこの量は2倍になると予測されています。

香港港もまた、BRIの海運を担う要素である中国の「21世紀 海のシルクロード」において重要な拠点と位置付けられています。香港港は世界470カ所の港と結んで年間約2,000万TEUの貨物を処理しており、世界有数の取扱量を誇っています。

新たに港珠澳大橋が開通したことによって、陸上輸送基地としての香港の役割も一気に高まりました。45分から1時間程度で中国本土側のメーカーや顧客からの貨物をトラックで直接香港港に運べるようになったことで、所要時間は従来から3時間近く短縮されました。

2050年までにはBRI参加国が世界のGDP成長の80%を占めるようになると見られており、経済の上昇の一環として世界には新たな接続の枠組みができあがることが予想されます。

※このニュースレターはDHL「Logistics of Things」が2019年3月28日に英文で発表したものです。DHL「Logistics of Things」は物流がビジネスにどのように影響を与え、持続的なつながりを築き、イノベーションを推進するかについて紹介しているDHLのWEBサイトです。 https://logisticsofthings.dhl/

本件に関するお問い合わせ先
DHL グローバル フォワーディング ジャパン 株式会社
広報担当:白土 采佳
TEL: 03-6731-4221
FAX: 03-5247-5573
E-mail: sayaka.shirato@dhl.com

プレスリリース(PDF): http://www.acnnewswire.com/clientreports/598/JP_DHLfinal_NewsLetter.pdf

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