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日立、簡便・無痛・高精度な乳がん検診を実現する超音波計測技術を開発


TOKYO, May 24, 2017 - (JCN Newswire) - 株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、簡便・無痛・高精度な乳がん検診を実現する超音波計測技術を開発しました。本技術では、360度の方向から超音波を照射し、音波の反射を360度の方向から取得するリング状の超音波デバイスを用いて自動スキャンを行うため、検査者の熟練度に依存しない検査が可能です。受診者はうつぶせになり、水を満たした検査容器に乳房を入れるのみでよいため(図1)、痛みを伴わず、安全に検査できます。また、取得した音波の速度などを元に、腫瘍のさまざまな特性(硬さ、粘性、表面の粗さ)を計測可能なことに加え、乳腺内の微小石灰化も可視化できるため、検診の精度向上に貢献します。今回、イヌの臨床腫瘍を用いて5mmの微小な腫瘍の検出に成功しました(図2)。2017年4月からは、北海道大学病院と共同で、ヒトの臨床腫瘍を用いた研究を開始しており、今後日立は、本技術を用いた乳がん検診装置の実用化をめざします。

近年、乳がんは世界の女性のがん罹患数第1位*1であり、治療には早期発見が重要となります。現在、乳がん検診はマンモグラフィや超音波により行われていますが、マンモグラフィ検診では微量の放射線被ばくや痛みを伴うほか、若年層やアジア人に多い高濃度乳腺の場合に、腫瘍の検出感度が低いことが課題です。一方、超音波検診では、検査者の熟練度により腫瘍の検出感度が異なることが課題となっています。

そこで、このたび日立は、簡便・無痛・高精度な乳がん検診の実現をめざし、放射線被ばくや痛みを伴わない超音波を用いて、検査者の熟練度に依存せずに微小な腫瘍を検出可能な超音波計測技術を開発しました。開発した技術の特長は以下の通りです。

1. 360度の方向から超音波を照射・取得し、腫瘍表面の粗さなどの特性を計測する技術

従来の超音波検診では、1方向から照射した超音波に対して、後方(照射源の方向)に反射した音波のみを取得していましたが、今回360度の方向から超音波を照射し、前方や側方を含む360度の方向に反射する音波を取得・解析する技術を開発しました。本技術は、音波の反射方向とその強度などを分析することにより、腫瘍の硬さ、粘性、表面の粗さを計測可能とし、また、超音波では難しいとされる乳腺内の微小石灰化の可視化も可能とします。悪性腫瘍の表面が粗い傾向にあるなど、腫瘍のさまざまな特性の把握により総合的な診断をすることができます。本技術に、日立が開発した超音波画像の解析時間を7倍高速化する技術*2を組み合わせることで、検診の精度向上と計測時間の短縮に貢献します。

2. 超音波デバイスと乳房を容器で分離しても、正常に検査可能な計測技術

従来の超音波検診では超音波デバイス(プローブ)にエコーゼリーを塗り乳房に押し当てていましたが、本技術では、超音波を効率的に乳房に伝搬させるためにリング状の超音波デバイスと乳房の間を水で満たします。そのため、複数の受診者が同じデバイスで検診を受けた場合、付着したウイルスなどから受診者間での病気感染のリスクが考えられます。そこで、超音波デバイスと乳房を容器で分離する構造にするとともに、容器が超音波の伝搬に与えてしまう影響を計測結果に反映することができる、超音波計測技術を開発しました。これにより消毒・殺菌の時間を短縮するとともに、安全で衛生的な検診が可能になります。

今後、日立は北海道大学病院との共同研究を通じて、簡便・無痛・高精度な乳がん検診の実現に向けて、装置の実用化をめざします。

本成果の一部は、2017年5月26日~28日に栃木県宇都宮市で開催される、「日本超音波医学会第90回学術集会」で発表予定です。

本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/05/0524a.html

*1 GLOBOCAN2012(2012年)参照。*2超音波が体内で屈折する影響を考慮し、腫瘍の硬さに関する特性を高速かつ高精度に提示する技術。2017年5月に日本生体医工学会大会にて発表。

概要:日立製作所

詳細は www.hitachi.co.jp をご参照ください。

お問い合わせ先
株式会社日立製作所 研究開発グループ 研究管理部 [担当:小平、安井]
電話: 042-323-1111(代表)


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