日本創発G Research Memo(1):多様なソリューションで「顧客のクリエイティブをサポートする」企業集団
日本創発グループ<7814>は、顧客が創造性(クリエイティブ)を表現するために必要となる多様なソリューションで「顧客のクリエイティブをサポートする」企業集団として、クリエイティブサービスを軸に幅広いビジネスを積極的に展開している。
1. クリエイティブサービス事業を展開するプロフェッショナル・グループ
同社は色と形を自在に操る高い技術力を生かした印刷分野を基盤にクリエイティブサービス事業を展開している。さらにM&Aも活用しながら、ITメディアや多彩なデジタルコンテンツを組み合わせたセールスプロモーション分野、魅力的なキャラクターアイテムやオリジナルグッズを開発・製造するプロダクツ分野にも事業領域を拡大し、企画提案・製造・制作からメディア運営・配信までをトータルにワンストップサービスとして提供できるユニークな企業体として、クリエイティブサービス事業の領域拡大に取り組んでいる。なお同社は規模の拡大だけをM&A戦略の目的としているわけではない。デジタル化の進展など事業環境の変化に迅速に対応し、グループシナジーによって成長分野での高付加価値サービスの提供を推進するため、持ち込まれたM&A案件から対象企業を厳選し、優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げることによって、伝統的な印刷製造技術のみならず、多様なデザイン力や映像クリエイティブ力などの高い専門技術を有し、クリエイティブサービスをトータルでカバーできる「創るチカラ」が集まったプロフェッショナル・グループというユニークな企業体を構築している。
2. 2023年12月期は計画を上回る増収増益で着地
2023年12月期の連結業績は売上高が前期比16.2%増の74,846百万円、営業利益が同6.6%増の3,463百万円、経常利益が同9.6%増の3,993百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同25.2%増の2,508百万円だった。同社が重視しているEBITDA(経常利益+減価償却費+のれん償却額+金融費用)は同7.6%増の6,177百万円と、期初計画を上回る増収増益で着地した。売上面は既存事業会社がおおむね順調に成長し、新規連結事業会社も寄与した。売上高約104億円増収の内訳は、新規にPLを連結した8社による増収効果が約52億円、既存事業会社の成長分が約52億円だった。事業分野別売上高構成比は印刷分野が70.7%、ITメディア セールスプロモーション分野が15.7%、プロダクツ分野が13.6%だった。印刷分野ではイベント・販促関連が好調に推移し、特にテーマパーク関連需要の好転が牽引した。利益面は、原材料費(用紙、刷版に使用するアルミなど)や外注加工費の高騰、新規連結と人材投資に伴う人件費の増加、事業規模拡大や効率化を目的とした設備投資に伴う減価償却費の増加などのコストアップ要因があったが、増収効果で吸収した。
3. 2024年12月期は基盤固めの1年と位置付けて小幅増収増益予想
2024年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比2.9%増の77,000百万円、営業利益が同1.1%増の3,500百万円、経常利益が同0.2%増の4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.7%増の2,600百万円、EBITDAが同1.2%増の6,250百万円としている。既存事業会社が順調に成長し、新規連結事業会社も寄与して増収増益予想としている。なお小幅な増収増益に留まる見込みとしているが、これはグループ第10期を迎え、2024年12月期を基盤固めの1年と位置付けて、人的資本の活性化(事業会社のリロケーション、新卒初任給額の大幅な水準引き上げ、人的資本開示を踏まえたDX投資の積極化)を推進するためである。会社予想は全体として保守的な印象が強く、同社が展開するクリエイティブサービスに対する顧客ニーズの高まりや、さらなるグループシナジーによる高付加価値化の進展などを勘案すれば、会社予想に上振れの可能性があるだろうと弊社では考えている。
4. グループシナジーとワンストップサービスで収益力向上を目指す
同社は中期経営計画を公表していないが、成長に向けた基本戦略として、高付加価値製品・サービスの拡充によって印刷分野の売上・利益構成比を維持しながら、ITメディア セールスプロモーション分野及びプロダクツ分野の製品・サービスを拡大し、グループ各社の専門性を生かしたグループシナジーとワンストップサービスによって一段の収益力向上を目指している。当面の重点戦略としては、生産効率向上を推進するための製造拠点の統廃合、付加価値向上に向けた人的資本の活性化、さらにDX投資などを推進する方針だ。
5. 中長期的な成長ポテンシャルは大きい
同社を取り巻く事業環境として、印刷関連市場はデジタルシフトによって新聞・雑誌・チラシなど紙の印刷が減少して厳しい事業環境であるものの、広告市場においてはSNS・動画配信やプロモーションメディア(屋外・交通広告・DMなど)の拡大に加え、顧客ニーズの多様化も進展している。このような事業環境に対して同社は、多様なソリューションを提供する「クリエイティブをサポートする企業集団」としての競合優位性を生かし、グループシナジーとワンストップサービスによって一段の収益力向上を目指す方針としている。この点で同社の中長期的な成長ポテンシャルは大きいと弊社では評価している。また、同社は2024年12月期を基盤固めの1年と位置付けて人的資本の活性化を推進する方針としており、2025年12月期以降は基盤固めに向けた各種施策の効果も寄与して成長が加速する可能性が高いと弊社では考えている。したがって当面は基盤固めに向けた各種施策の進捗状況に注目したいと考えている。
■Key Points
・多様なソリューションの提供で「顧客のクリエイティブをサポートする」企業集団
・2023年12月期は計画を上回る増収増益で着地
・2024年12月期は基盤固めの1年と位置付けて小幅増収増益予想
・グループシナジーとワンストップサービスで収益力向上を目指す
・中長期成長ポテンシャルは大きく、基盤固めに向けた各種施策の進捗状況に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SO>
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