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エヌ・シー・エヌ Research Memo(1):独自の木造建築用システム「SE構法」をネットワーク展開


■要約

エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート構造)において主流だったラーメン構法(骨組み(部材)の各接合箇所を剛接合したもの)を木造住宅に取り入れ、同社独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供する。

1. 2022年3月期の業績
2022年3月期業績は、売上高8,571百万円(前年同期比33.3%増)、売上総利益2,051百万円(同27.2%増)、営業利益396百万円(同40.1%増)、経常利益419百万円(同29.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益305百万円(同35.4%増)と増収増益での着地となり、売上高・各利益ともに過去最高を更新した。米国での新築住宅需要の高まりを背景とした木材の供給不足と価格高騰、いわゆる「ウッドショック」といった大きな問題はあったものの、同社の強みの1つである構造設計を起点とした資材調達・施工までの一貫した独自のサプライチェーンが有効に機能したことにより木材を安定的に確保し、供給を行うことができた。

2. 2023年3月期の業績予想
2023年3月期の業績予想については、売上高9,734百万円(前期比13.6%増)、売上総利益2,384百万円(同16.2%増)、営業利益429百万円(同8.4%増)、経常利益461百万円(同10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益326百万円(同7.0%増)を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による経済への影響のほか、住宅業界においても世界的な木材資源の需給バランスの不均衡を背景とした木材価格の高騰及び供給体制の混乱(ウッドショック)の継続は憂慮され楽観視できない状況にある。ただし、SE構法で利用する集成材は、すべて国内メーカーで製造した製品を使用しており、2023年3月期も引き続き集成材メーカーとの連携をより一層強化していく予定である。また、原材料の約3割が国産材であり、SE構法における杉材等の技術評定は2020年9月に取得済みで国産材比率を上げる準備は整っている。

3. 2025年には「建築基準法 第20条4号特例」の範囲縮小
2021年、改正建築物省エネ法「省エネ性能の説明義務化」はスタートしたが、2025年には「建築基準法 第20条 4号特例」の範囲縮小が見込まれており、全新築建物への省エネ基準適合を義務付けると国交省は発表している。また義務化審査と同時に、戸建て住宅など小規模な木造2階建てでも確認申請時の構造審査が必須となる可能性がある。現在は2階建て以下、延床面積500m2以下などの条件を満たす木造戸建て住宅は、建築確認の構造審査が省略されているが、4号特例の縮小によって、木造の特別扱いを改め、他の構造形式と同じ扱いとなる。同社はこれまで国の政策に先駆けた取り組みによって成長を続けており、「建築基準法 第20条 4号特例」の範囲縮小においては、成長を加速させることになるとフィスコでは考えている。同社は2022年6月に、ペーパレススタジオジャパン(株)が保有するMAKE HOUSEの株式49%を取得し、完全子会社化した。今後の成長に向けた新たなビジネスや投資等を積極的に行ううえで、完全子会社化によって迅速に対応することができる。

■Key Points
・木造建築業者のビジネスプラットフォームを展開
・国の政策に先駆けて事業を展開
・ウッドショック下においても木材を安定供給
・「建築基準法 第20条 4号特例」の範囲縮小で成長加速へ

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


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