ダイキアクシス Research Memo(7):2021年12月期はコロナ禍などのマイナス影響のなかでも増収増益を達成
1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比9.2%増の37,824百万円、営業利益が同7.1%増の1,119百万円、経常利益が同7.4%増の1,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.0%増の610百万円となった。コロナ禍、ウッドショック、半導体不足などにより商品の一部に納期遅延や輸送費の高騰などの影響があったものの、環境機器関連事業と住宅機器関連事業が増収増益をけん引した。計画比では、経常利益が予想のオンラインであったが、特別損失の発生や税負担が予想以上となり、親会社株主に帰属する当期純利益が12.9%未達となった。
(1) 環境機器関連事業
環境機器関連事業の売上高は前期比15.7%増の20,130百万円と全体の53.2%を占めた。セグメント利益は同36.7%増の1,688百万円となり、売上高利益率が同1.3ポイント増の8.4%に上昇した。同セグメント売上高のうち浄化槽・排水処理システムが19,240百万円、売上比95.6%、地下水飲料化事業が889百万円、同4.4%となった。浄化槽・排水処理システムのうち国内売上高は、前期比13.5%増の17,751百万円であった。食品加工工場などの産業排水処理施設関連の国内大型案件が、工事進行基準の進捗により売上増加に寄与した。利益面では、国内の大型案件が寄与した。海外売上高は、中国やイラクでの大型案件とインドでの販売拡大が寄与して同48.5%増の大幅な伸びとなり、同セグメント売上高の7.4%を占めた。海外を含むメンテナンスは同5.5%増の5,040百万円と堅調に推移し、売上比は25.0%であった。上水事業のエスコ導入件数は3件、買取は3件あった。2021年12月期末のエスコ契約件数は100件に達した。
(2) 住宅機器関連事業
住宅機器関連事業の売上高は前期比7.7%増の15,875百万円、セグメント利益が同18.2%増の370百万円となった。国内住宅リフォーム需要は引き続き底堅く推移し、コロナ禍の落込みから回復傾向となった。同セグメント売上比は、建設関連業者等が74.2%、ホームセンターリテール商材が12.3%、電子商取引が0.1%、住機部門工事が13.5%となった。建設関連業者等売上高は同15.3%伸びた。コロナ禍に関連した補助金の影響もあり、非接触型トイレ(便座の自動開閉や自動洗浄機能など)の需要が増えた。また、販売店舗照明・空調機器等に取り換え需要が発生した。さらに木造工法による建物建築も増え、環境配慮型の特殊商材の販売が好調であった。米国発のウッドショックの影響については、施工に国産間伐材を使用したことで、大きな影響を受けなかった。ホームセンターリテール商材は、前期比横ばいとなった。住機部門工事は、DCM店舗建築の受注はあったものの、期中に完成がなかったため同17.3%減少した。
(3) 再生可能エネルギー関連事業
主力の太陽光発電に係る売電事業売上高は、前期比20.8%増の958百万円、再生可能エネルギー関連事業の利益は同42.4%減の179百万円となった。売上比は、太陽光発電に係る売電事業が84.0%、バイオディーゼル燃料事業が12.9%、小形風力発電事業が1.2%、水熱処理事業が1.8%となった。DCMグループ店舗に設置した130件の太陽光パネル(前期比1件増)は、系統連系がすべて完了した。事業譲渡した(株)DADの太陽光発電事業に係る利益が剥落したほか、新たに子会社化したサンエイエコホームの売電事業が一部寄与した。バイオディーゼル燃料事業は、営業努力により顧客開拓が進み、前期比33.4%の増収となった。小形風力発電事業は12サイトで連系が完了し、FITによる売電事業が開始された。
(4) その他の事業
その他の事業は、売上高が前期比48.4%減の677百万円、セグメント利益が同29.8%減の120百万円となった。土木事業の売却により、売上・利益とも減少した。
2. 財務状況とキャッシュ・フロー
(1) 財務状況
2021年12月期末の資産合計は、32,252百万円と前期末比4,473百万円増加した。流動資産は、19,981百万円と同2,533百万円増加した。現金及び預金が子会社取得などにより同1,598百万円減少した。売上債権は、国内外の大型案件の売上計上により2,266百万円増加した。たな卸資産が、子会社取得により同1,688百万円増えた。固定資産は12,270百万円と同1,940百万円増となった。子会社取得による太陽光発電設備などで、有形固定資産が1,373百万円、無形固定資産が465百万円増加した。のれんは1,024百万円と、508百万円増であった。
負債の部では、流動負債が16,839百万円と同961百万円増、固定負債が6,572百万円と2,306百万円の増加であった。固定負債の社債・借入金がシンジケートローン(1,000百万円増)、グリーンボンド発行(1,000百万円増)により2,094百万円増加した。一方、流動負債の借入金・社債等は2,012百万円減少した。
その結果、流動比率は118.7%と前期比8.8ポイント上昇した。自己資本比率は、0.1ポイント減の27.4%となった。
(2) キャッシュ・フロー計算書
2021年12月期末の現金及び現金同等物残高は6,250百万円と前期比1,785百万円減少した。営業活動によるキャッシュ・フローは、大型案件の売上計上に伴う売上債権の増加と子会社取得による未成工事受入金の増加により520百万円の収入にとどまった。投資活動によるキャッシュ・フローが1,505百万円の出超であったため、フリー・キャッシュフローは985百万円のマイナスとなった。投資活動では、海外事業における工場用地の取得と再生可能エネルギー関連事業の設備投資が実施された。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済及び社債の償還に伴う減少で703百万円の出超となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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