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プロパスト Research Memo(6):2022年5月期第2四半期は厳しい経営環境にあって、健闘した決算


■プロパスト<3236>の業績動向

1. 2022年5月期第2四半期の業績
2021年5月期第2四半期累計期間におけるわが国経済は、コロナ禍による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さが見られた。そのなかで、個人消費は、持ち直しの動きが見られる。「家計調査」(総務省統計局)では、2021年10月の実質消費支出は前月比3.4%増となり、9月に5ヶ月振りに前月比プラスの水準に回復した後、2ヶ月連続で前月比プラスの水準を維持している。また、「商業動態統計」(経済産業省)では、2021年10月の小売業販売額は前月比1.0%増となり、2ヶ月連続で前月比プラスとなっている。一方、設備投資は、持ち直しの動きに弱さが見られる。需要側統計である「法人企業統計季報」(含むソフトウェア。財務省 財務総合政策研究所)では、コロナ禍拡大や緊急事態宣言長期化等の影響を受けたと見られることから、2021年7~9月は前期比2.6%減となり、3四半期振りの減少となった。機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)も、「鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表」(経済産業省)によると2021年7~9月は前期比2.3%減となり、4四半期振りの減少となった。また、輸出については「財務省貿易統計」によると、世界の輸出数量伸率は2021年9月は前年同月比3.2%、10月は同-2.6%、11月は同4.7%と、ほぼ前年同月並みに推移した。しかし、米国向け輸出数量伸率が2021年9月以降は前年同期の水準を下回る状況となった。

同社が属する不動産業界では、持ち直しの動きが見られる。「建築着工統計調査報告」(国土交通省)によると、先行指標となる新設住宅着工戸数の季節調整済み年率換算値は2021年10月が89万戸と前月比10.4%増となり、3ヶ月振りの増加となった。

このような状況下、同社は、分譲開発事業や賃貸開発事業及びバリューアップ事業における新規物件の取得や保有物件の売却及び分譲開発事業の分譲販売を進めた。この結果、2022年5月期第2四半期の業績は、売上高10,636百万円(前年同期比19.5%減)、営業利益1,364百万円(同20.5%減)、経常利益1,135百万円(同25.6%減)、四半期純利益763百万円(同28.5%減)と減収減益決算となった。ただし、前期の2021年5月期が上期偏重となる特殊な決算であったことによる反動減である。実際、当期も物件の売却や仕入は順調であり、計画を上回って健闘した決算であった。すなわち、不動産業界では希望価格での仕入は困難ななか、同社では独自のパイプや情報網を活用して継続的に仕入を行い、コンセプト重視でエリアを絞った企画により競合先の少ない分野に的を絞ることで売却し、計画を上回る実績を上げている。ただ、当期は利益率が高い賃貸開発事業のウェイトが低下したことから、全体の利益率もやや低下している。しかしながら、環境に応じて3事業のバランスを柔軟に変える同社の事業戦略は評価できると言える。

セグメント別では、分譲開発事業は、自社販売物件としてプルームヌーベル武蔵野(東京都武蔵野市)の販売を実施した。ただ、2022年5月期第2四半期は販売物件が当プロジェクトのみで、残りの販売戸数が少なくなっていたことから、売上高は340百万円(前年同期比26.9%減)、営業利益(全社費用控除前、以下同様)は15百万円(同45.0%減)にとどまり、同社全体に占める売上高・営業利益のウェイトは低下している。

また、賃貸開発事業では、首都圏を中心に用地取得から中小規模賃貸マンションの企画・建築・販売まで行っており、西池袋2プロジェクト、両国3プロジェクト及び日本橋浜町2プロジェクト等の9物件を売却した。しかし、前年同期に複数の大型物件を販売した反動に加えて、物件売却が順調に進んだことにより保有する竣工済物件数も限られたことを受けて売却物件数が減少した結果、2022年5月期第2四半期の売上高は6,253百万円(同39.7%減)、営業利益は1,387百万円(同28.2%減)となった。ただ、利益率は前年同期の18.6%から22.2%に上昇しており、引き続き同社の業績をけん引する原動力となった。個人の相続税対策として、都心の優良物件に対するニーズが強いようだ。

さらに、バリューアップ事業では、中古の収益ビルをバリューアップしたうえで個人投資家等に売却しており、北千束3プロジェクト、白金5プロジェクト及び巣鴨4プロジェクト等の8物件を売却した。収益性の高いエリアでの物件売却が進められた結果、2022年5月期第2四半期の売上高は4,034百万円(同69.7%増)、営業利益は461百万円(同71.7%増)となった。利益率も前年同期は11.3%、当第2四半期も11.4%と安定している。

このように、当第2四半期はバリューアップ事業が大幅な増収増益となり、分譲開発事業と賃貸開発事業の減収減益をカバーした。同社では、3事業部門が補完し合うことで、会社全体の業績を維持していると言える。

2. 財務状態及びキャッシュ・フローの状況
2022年5月期第2四半期末の資産合計は、前期末比1,330百万円増の25,419百万円となった。これは主に、保有物件の売却を積極的に進めた一方で、金額やエリア等の立地を含めて慎重に見極めたうえでの物件取得を進めた結果、販売用不動産と仕掛販売用不動産が合わせて590百万円増加したことによる。すなわち、売却も仕入もともに順調で、物件が入れ替わりながら資産が拡大している状況だ。また、物件売却を推進したことにより、現金及び預金が546百万円増加したことも寄与している。

負債合計については、前期末比654百万円増の18,497百万円となった。これは主に、保有物件の売却を推進する一方、物件取得を進めたことにより借入金が1,044百万円増加したことによる。また、純資産合計については、前期末比675百万円増の6,921百万円となった。四半期純利益の計上により利益剰余金が692百万円増加したことによる。

利益の積み上げと、2020年11月に実施したシノケングループ向けの第三者割当増資の結果、自己資本比率は26.9%と、2013年5月期末の9.5%から大幅に上昇し、同社が中期的な目標とする30%台に近付いた。同期間に、D/Eレシオ(負債資本倍率)は8.28倍から2.58倍に低下し、また流動比率も161.3%から242.6%に上昇しており、短期的な資金繰りに十分な支払い能力を確保している。こうしたことから、不測の事態への備えは十分に整ったと評価できる。

こうした強固な財務内容は、不動産の仕入など事業面でも有利に働くと考えられる。筆頭株主のシノケングループとの関係強化によって、シノケングループが運用する私募REITへの賃貸不動産を供給するなど新たな協業もスタートし、今後も同社にとって有力な売却先として期待される。このように、グループ会社間でのシナジーを発揮することで収益力も一層強化されると考えられる。

現金及び現金同等物の2022年5月期第2四半期末残高は、前期末より336百万円増加し、4,002百万円となった。各キャッシュ・フローの状況について見ると、営業活動により使用した資金は395百万円となった。これは、主に税引前四半期純利益を1,135百万円計上したものの、たな卸資産が590百万円増加したことによる。また、投資活動により使用した資金は216百万円となった。これは、主に定期預金を112百万円解約した一方で、定期預金を323百万円預入したことによる。さらに、財務活動により獲得した資金は945百万円となった。これは、主に新規物件の取得等に伴い9,691百万円の借入をした一方で、保有物件の売却等により借入金を8,646百万円返済したことによるものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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