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インテリックス Research Memo(5):リノヴェックスマンションは仕入件数が減少するも販売件数が増加


■インテリックス<8940>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 中古マンション再生流通事業(リノヴェックスマンション事業)
中古マンション再生流通事業の売上高は前期比2.3%増の31,466百万円、営業利益は同45.4%増の1,355百万円となった。売上高の内訳を見ると、リノヴェックスマンションの物件販売で同2.4%増の31,299百万円、その他収入(不動産仲介手数料)で同34.9%増の24百万円となった一方、オーナーチェンジ物件の売却に伴う保有件数の減少に伴い、賃貸収入が同20.1%減の142百万円となった。

リノヴェックスマンションの販売件数は前期比6.3%増の1,420件と2期連続で増加し、平均販売単価は同3.7%減の2,204万円となった。エリア別の販売件数を見ると、首都圏が同6.6%増の642件、地方エリアが同6.0%増の778件となり、地方エリアについては2期連続で過去最高を更新した。新築マンションの供給戸数が減少するなかで、中古マンションの需要が堅調に推移したことが販売件数の増加につながった。地方店では特に大阪支店が前期比18.3%増の246件、福岡支店が同24.5%増の137件と大きく伸長し、過去最高を更新した。これら拠点では中途採用による営業体制を強化したことが奏功したと見られる。

一方、仕入件数については前期比17.4%減の1,181件、うち首都圏が同19.4%減の483件、地方エリアが同15.9%減の698件とそれぞれ2ケタ減少となった。首都圏は2期ぶり、地方エリアは3期ぶりの減少に転じたことになる。コロナ禍のため人口の移動が停滞し、業界全体で中古マンションの売却物件が減少したことが一因と見られる。実際、同期間における首都圏の中古マンション業界動向を見ると、成約件数は新築マンションの供給戸数が減少したこともあり、前年同期比15.4%増の40,453件と増加に転じた一方で、2021年5月末の在庫件数は同27.3%減の33,801件と大きく減少し、流通市場において売買可能な物件数が減少したことがうかがえる。とは言え、四半期ベースで同社の仕入件数を見ると、第1四半期の265件を底に、第4四半期には333件と増加傾向となっている。2020年10月には首都圏で渋谷、横浜に次ぐ3番目の営業拠点(東京日本橋支店)を開設するなど、営業体制の強化を進めていることが要因と考えられる。東京日本橋支店では東京都の東部エリアと千葉県を主にカバーし、仕入強化に取り組んでいる。

なお、リノヴェックスマンション販売の売上総利益率は前述した通り、前期の12.7%から13.7%に上昇し、売上総利益は同10.6%増の4,303百万円となった。第1四半期はコロナ禍の影響で一部値引き販売を実施したため、売上総利益率も10.9%まで低下したが、第2四半期以降は需給改善に伴い販売が順調に進んだことから利益率も上昇に転じ、第4四半期には17.1%とここ数年で最も高い水準となった。通期の事業期間は107日と前期の111日から短縮した。販売期間で1日、施工期間で3日それぞれ短縮した。

(2) その他不動産事業
その他不動産事業の売上高は前期比35.4%増の9,607百万円、営業利益は同93.3%増の1,561百万円となった。売上高の内訳を見ると、物件販売が同66.8%増の7,122百万円、賃貸収入が同4.2%減の916百万円、その他収入が同16.2%減の1,567百万円となり、物件販売の大幅伸長が増収増益要因となった。

物件販売では、アセットシェアリング事業が前期7億円から5億円に減少したものの、リースバック事業が同6億円から29億円(うち、不動産信託受益権の譲渡19億円※)に増加したほか、港区六本木の物件売却で26億円を計上したことが増加要因となった。期末時点のリースバック物件の保有件数は、前期末比1件減の387件、保有総額で同8億円減の53億円となっている。

※2020年9月にリースバック物件68件の信託受益権を合同会社あんばいLB1号に譲渡(譲渡価格1,941百万円、帳簿価格1,632百万円)し、オフバランス化した。


賃貸収入のうちリースバック物件からの収入は4億円と前期並みの水準となっており、その他物件の売却が賃貸収入の減少要因となった。また、その他収入のうち、リノベーション内装事業は期前半の低迷が響いて前期比9.2%減の1,307百万円となったが、下期だけで見ると法人向け、個人向けともに受注が回復し、前年同期比5.1%増の728百万円と増収に転じている。リノベーションマンションの需要拡大に加えて、コロナ禍で在宅勤務の機会が増加したことも受注回復の一因になっていると見られる。一方で、ホテル宿泊事業では2020年1月に開業した「LANDABOUT TOKYO」(東京都台東区)のほか、「montan HAKATA(モンタン博多)」「京町家」等の稼働率がコロナ禍において長期低迷し、収益圧迫要因となった。

利益面では、ホテル宿泊事業やリノベーション内装事業等の減益を物件販売の増収効果でカバーした格好で、なかでも港区六本木の物件販売が大きく貢献した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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