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タナベ経営 Research Memo(1):DX・M&A領域のコンサルティング需要を取り込み、年率2ケタ成長を目指す


■要約

タナベ経営<9644>は、創業64年目となる日本の総合経営コンサルティングのパイオニアであり、経営ミッションとして「ファーストコールカンパニー100年先も一番に選ばれる会社へ、決断を。」を掲げている。顧客企業ごとの経営課題に応じて、「ドメイン(業種・事業領域)×ファンクション(経営機能)×リージョン(地域)」という3つの視点で最適な専門コンサルタントを選定してチーム組成する「チームコンサルティング」を、主要顧客である全国の大企業から中堅企業(主に売上高50億円~1,000億円)に提供している。全国主要10都市の各事業所には、コンサルタントが常駐しており、地域密着で顧客企業を支援できる体制は業界唯一と言える。2019年10月にBtoB企業を対象にデジタルマーケティング支援を行う(株)リーディング・ソリューション、2021年1月にM&A全般の支援(クロスボーダーを含む)やバックオフィスに対するDX支援を展開するグローウィン・パートナーズ(株)をグループ会社化し、コンサルティング領域の上流工程から下流工程までワンストップで提供できる体制を構築している。

1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比1.9%減の9,213百万円、営業利益で同23.9%減の751百万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により、期の前半にコンサルティングやセミナーが一時休止や延期になった影響で、主力の経営コンサルティング事業の収益が落ち込んだことが主因だ。ただ、期の後半には徐々にコンサルティング需要も回復し、第4四半期だけで見れば増収増益に転じている。

2. 中期経営計画
同社は2022年3月期からスタートする5ヶ年の中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision 2030」(One & Only 世界で唯一無二のコンサルティンググループ TCGの創造)を発表した。M&Aも活用したコンサルティングメニューの拡大やDXコンサルティング領域の強化により、2026年3月期に売上高で150億円、営業利益で18億円を目指す。5年間の年平均成長率は売上高で10.2%、営業利益で19.0%となる。同社はこれまで中期経営計画では、年率3~4%の堅実な計画を策定してきたことを考えると、かなりアグレッシブな計画になっているとの印象だ。ここ1~2年でデジタルマーケティング領域やM&A・ファイナンシャル領域で豊富な実績を持つ会社をグループ化したことで、様々なコンサルティングサービスをワンストップで提供できる体制を構築したことが大きい。特に、同社の主要顧客である中堅企業ではデジタルマーケティングやDXが遅れているほか、事業承継などのニーズも多いこと、すべてのコンサルティング領域に対応できる競合は殆ど無いことから、同社にとっては成長を加速していく好機になると弊社では見ている。

3. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期は、売上高で前期比10.7%増の10,200百万円、営業利益で同19.7%増の900百万円と増収増益に転じる見通しである。グローウィン・パートナーズ(株)の通年寄与により、DXソリューションやM&A等のコンサルティング案件が増加し、主力の経営コンサルティング事業の売上高が前期比20.5%増と大きく伸長することが増収増益要因となる。また、(株)リーディング・ソリューションについても同社との協業案件が増加しており、収益増に貢献する見通しだ。今後、コロナ禍がさらに深刻な状況とならなければ、会社計画を達成する可能性は高いと弊社では見ている。なお、M&Aについてもコンサルティングの下流工程(実装・オペレーション)でDXサービスを手掛ける企業を念頭に検討を進めている。

■Key Points
・2021年3月期はコロナ禍の影響で減収減益となるも、第4四半期は増収増益に転じる
・中期経営計画(2021~2025)「TCG Future Vision 2030」を発表、グループシナジーを高めて年率10%台の高成長を目指す
・2022年3月期はM&Aによるシナジー効果も顕在化し、2ケタ増収増益に転じる見通し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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