銘柄スカウターを「億り人」「元ファンドマネージャー」と語る/馬渕磨理子
◆お気に入りの「銘柄スカウター」のスクリーニング要件
セミナーの最初に、コロナの状況下でも成長の可能性がある企業をスクリーニングする方法をご紹介させていただきました。今までに、長期間の高成長、高利益率を続けており、かつ財務も一定健全な企業をスクリーニングすることで効率的に企業を選定することができます。銘柄スカウターでは、直近の決算情報だけでなく、過去の長期のデータを網羅した上で銘柄を絞り込むことができます。
安定成長する企業とはどのような点に注目したら良いのでしょう。ポイントは、「オリジナリティのある企業・成長産業に属している企業・業績推移が堅調」です。これらの点を抑えることで安定成長株を抽出することができます。オリジナリティや成長産業に属しているかどうかは、1つ1つ個別の企業を見ていく必要があります。一方、業績推移に関しては、スクリーニングを利用することで、ある程度ふるいにかけることができます。業績推移の良い企業だけをふるいにかけ、銘柄が絞れた後に、1つ1つ銘柄の中身を吟味することをお勧めします。
新型コロナの打撃により、企業の業績予測が難しいことから、銘柄の選定が通常時よりも難しくなっています。今回は、過去の業績推移から、中長期で安定的に成長している企業の中から注目の銘柄をピックアップしました。
◆セミナーの中で実際に紹介したスクリーニング要件
<安定成長・スクリーニング要件>
通期で直近10年間の増収回数(売上高):7回以上
通期で売上高の成長率が3年間:10%以上
通期で直近10年間の増益回数(営業利益):7回以上
通期で営業利益の成長率が3年間:10%以上
通期で営業利益率の利益率が3年間:10%以上
自己資本比率:50%以上
ぜひ、実際に銘柄スカウターでスクリーニングを楽しんで見てください。
続いて、セミナーの中では視聴者の方々からご質問いただいた内容に講師陣が1つ1つ回答・解説しております。一部をご紹介させていただきます。
◆視聴者からの質問銘柄 サンマルクホールディングス
解説は、坂本慎太郎氏
カフェでお馴染みのサンマルクホールディングスの20年のチャートを見ながら解説していただきました。「高値4000円を超える時期があったものの、ここ数年は大きく下落しています。セグメント情報を見ていくと、売上構成比はレストラン事業が51.9%、喫茶が45.2%となっています。株価の上昇は喫茶の成功があったと言えます。しかし、カフェのチョコクロのブランドを軸に伸ばしてきたにもかかわらず、チョコクロの値引きをするといった、ブランドを棄損する様な施策を行っている点には注意だ」と述べています。飲食店の戦略として「ブランド力を極力温存しながら、運営する必要があるにも関わらず、それができていない点が、厳しい状況になっている理由だ」と解説していただきました。ただし、自己資本比率がかなり分厚いことを銘柄スカウターB/Sを持ちいての分析方法にも言及されています。坂本氏による、ブランド戦略とB/Sの分析、さらに赤字が何年続けば自己資本を消耗してしまうのかなどの視点をご紹介頂きました。
◆視聴者からの質問銘柄 G-7ホールディングス
解説は億り人投資家のDAIBOUCHOU氏
G-7ホールディングスは「オートバックス」(68店舗)、業務用食材を小売販売する「業務スーパー」(145店舗)をフランチャイズとして全国展開している企業をDAIBOUCHOU氏により解説いただきました。「G-7ホールディングスの業績を予想する上で、売上高構成比68%を占めている業務スーパーと28.2%を占めているオートバックスのそれぞれの業績を見る事で、フランチャイズの親としての売上高を予想するといった方法」をご紹介していただきました。
神戸物産とオートバックスの売上高をそれぞれ見ていきます。銘柄スカウターで神戸物産の月次IRニュースを見ていくと神戸物産からフランチャイズの店に対して出荷した実績がわかる「商品出荷実績」項目では、今年2月~4月の数字は120~130%となっていることからも、売上高は120%ほどになることが予想できます。同じようにオートバックスの月次売上概要を見ながら解説をしていただきました。
いかがでしょうか。フランチャイズ展開している企業の場合、それぞれのフランチャイズ企業の個別企業の月次IRを見ながら、本体の予想をしていくDAIBOUCHOU氏の分析方法は今から実績できる分析手法と言えます。
◆銘柄スカウターは常に進化を遂げている
銘柄スカウターは、常に機能の進化を遂げています。直近、アップデートした機能は業績や財務状況の変動要因が追加されており、より細やかな銘柄比較やスクリーニングが可能になりました。銘柄ごとの通期業績推移と貸借対照表に「変動要因」を追加され、企業の増益、または減益の要因が何なのかを分解して理解することができます。
例えば、20年3月期のトヨタ自動車は営業利益が減益になっていますが、売上原価や販管費はプラス推移であり、売上高のマイナスが響いたことなどが視覚的に分かるようになっています。また、株価指標に「EV/EBITDA倍率」を追加、10年スクリーニングの条件の部分には各種回転率が追加されています。
(フィスコ 企業調査レポーター 馬渕磨理子)
<US>
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