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日本化 Research Memo(7):前・中期経営計画最終年度の目標未達も、重点施策取り組みは進展


■日本化学工業<4092>の中長期成長戦略

1. 前・中期経営計画のレビュー
前・中期経営計画(2018年3月期−2020年3月期)では、持続的安定収益の実現に向けてという大方針のもと、重点施策として、重点分野への集中投資(機能品事業の拡張、次世代製品を取り込んだ新工場建設、M&Aの推進)、海外戦略の積極的展開(アジアマーケットへの積極的販売、海外事業所の連携強化、東南アジア生産拠点設立の検証と実現)、経営基盤の強化(国内既存マーケットの巻き返し、保有資産の有効活用、人材育成の促進)を推進した。

経営目標数値の達成状況としては、2018年3月期(目標売上高350億円、営業利益25億円)、及び2019年3月期(目標売上高360億円、営業利益28億円)は順調に達成したが、2020年3月期(目標売上高375億円、営業利益29億円)は計画未達となった。2020年3月期は、売上面では米中貿易摩擦長期化などの影響で化学品の需要が想定以上に落ち込み、期ずれ発生も影響した。利益面では積極的な設備投資に伴う減価償却費の増加も影響した。なお3ヶ年累計の設備投資額は、計画の117億円に対して、実績が126億円となった。中長期成長に向けた事業基盤強化に注力した。

2. 重点施策の取り組み状況
前・中期経営計画の最終年度目標値は未達だったが、重点施策の取り組みは順調に進展している。

(1) 重点分野への集中投資
重点分野への集中投資に関しては、成長分野の電子材料や有機関連製品への投資を継続的に実施している。2019年8月には先端有機材料の需要拡大に対応して、福島第二工場(福島県田村郡)の新工場棟が稼働(投資額約20億円)した。有機電子材料事業の売上倍増を目指している。

特にMLCC(積層セラミックコンデンサ)向けのパルセラムに関しては、福島第一工場(福島県郡山市)に新ラインを増設(投資額約10億円、2019年3月稼働)して生産能力を10%引き上げた。さらに需要が拡大基調のため、2019年11月に徳山工場(山口県)において新生産棟の建設に着手(投資額約37億円、2021年春竣工予定)した。建物のスペースに余裕を設け、顧客ニーズに対応して段階的な設備増強を行い、最終的には2019年3月期比で70~80%の生産能力増強を目指す方針だ。生産拠点を分散化することで供給の安定化を図る狙いもある。

M&Aの推進では2018年7月、子会社の日本ピュアテックが理化学機器輸出入販売のロックゲートを子会社化した。ロックゲートが取り扱う極低温冷却機器は、ビッグデータ解析や新薬開発で実用化が期待される量子コンピュータに使用され、今後の需要拡大が期待されている。

(2) 海外戦略の積極的展開
海外戦略の積極的展開に関しては、東南アジアマーケット開拓に向けて2017年8月、タイに子会社JCI(THAILAND)CO.LTDを設立した。海外拠点間の連携を強化して売上拡大を目指す。また東南アジアを中心に一部製品の海外生産を検討している。

(3) 経営基盤の強化
経営基盤の強化に関しては、保有資産の有効活用で西淀川工場跡地(大阪市西淀川区)の再開発が完遂し、イオンタウン郡山(福島県郡山市)の契約も更新した。また適材適所の人材配置や中途採用による人材確保も推進した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)




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