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三和HD Research Memo(5):重量物であるため消費地生産が原則。販売では、物流・施工面で国内と欧米に違い


■会社概要

4. 生産と販売の状況
三和ホールディングス<5929>の製品は、カタログ製品ではあるものの、ほぼすべてが受注生産となっている。理由は大型のビル(オフィスビル、商業施設、工場等)はもちろん、戸建て住宅であっても、開口部のタテ・ヨコのサイズが異なるためだ。それゆえ同社はミリ単位でサイズを調節し生産を行っている。

受注生産の納期は製品によって異なる。住宅用の軽量シャッターであれば1週間程度で納入可能となっている。しかし同社が得意とする重量シャッターは商談・受注から納品までのリードタイムが1年~2年に及ぶことも珍しくない。ビルの建設期間が長い上、シャッターを始めとする同社製品はビルの工事期間の最後期に納品されるためだ。リードタイムの長さは、その間の鋼材価格の変動が受注時の見積もりと実際の生産コストのずれを生みだし、利益に影響を与えるので注意が必要だ。これは、その商慣習から、特に日本市場において特徴的だ。

材料は鋼材がメインで一部アルミやステンレスとなっている。副資材としては塗料などがある。特に重要なのは鋼材で、国内では高炉品をひも付き契約(長期契約)で購入している。欧州も日本と同様の契約形態となっている。一方北米やアジアではスポット価格での取引のため、原材料価格変動としては北米やアジアの方が大きく出やすいと言える。しかし長期契約であっても年をまたぐ場合には、やはり価格が変動する。

生産拠点については、同社は世界中に60ヶ所を擁している。同社製品の多くは重量物であるため、運送費がかかる。したがって消費地生産が大原則と言える。こうした状況を反映して、輸出入は非常に限定的となっている。

販売面では、国内では全国に約300ヶ所の直営の営業拠点を擁し、そこを拠点に営業活動、施工、保守・メンテナンス等を一貫して提供している。“一貫サービス”という事業モデルは日本に特有であり、同社の海外戦略や将来の事業展開を見るうえで非常に重要なポイントだ。

米国や欧州では、基本的には製造までの事業モデルとなっている。同社は製品をディストリビューターと呼ばれる中間事業者に販売し、最終顧客への販売や施工、アフターサービス等はディストリビューターが行うという構造だ。これは国土面積や商慣習等に立脚している。メーカーに徹することは手離れが良いとも言えるが、施工や保守メンテナンスからの収益を取り込めない点が日本の収益モデルと大きく異なる点だ。北米や欧州での事業展開のポイントの1つとして同社は“川下展開”を挙げているが、それはこのことを意味している。

同社製品の需要ドライバーは言うまでもなく建築需要だ。住宅用、非住宅用をともに扱うが、日本は8対2で非住宅用が多いのに対して、欧州では6対4、米国では住宅と非住宅が半々とみられる。したがって同社の事業の先行きを占ううえでは、住宅着工件数や建築着工床面積などの各種建築関連統計がまず重要な指標となる。また建築需要は景気動向や金利動向、政策等の影響を受けやすいため、そうした方面にも注意を向ける必要がある。

業績面では季節性も重要だ。建設業界自体が強い季節性を有し、同社もそこに属しているためだ。上期と下期との比較では下期偏重であり、四半期ベースでは第4四半期に収益が大きく偏っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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