「経営トップは、社員の顔を見て経営判断したいものなんです」と語るのは、カオナビ<4435>の柳橋 仁機(やなぎはし ひろき)社長。同社は、企業内に散らばっている人事データを顔写真に紐づけし、様々な切り口で社員のデータベース(顔写真)を並び替え、検索したり一覧したりできる人材マネジメントシステムを開発・販売。企業の規模や業種を問わず1200社以上の顧客に導入、急速に成長している。

柳橋社長が、当事業のアイデアを思いついたのは2011年頃に遡る。テレビの特集番組を見たのがきっかけだった。大手餃子チェーン店の社長室で、創業社長は、新規出店の計画を立てていた。新店舗の店長を誰にすべきか、既存店から誰をどこに配置しようかを検討している場面、社長室の壁一面には日本全国の出店地図、各店舗には店長の顔写真が貼られていた。
「『これだ』と思いました。経営トップや中間マネジメントには、社員の顔で判断したいという潜在ニーズがあるに違いないと思ったんです」

キャリアに関する情報、仕事の実績、評価、本人の希望などの人事データは、名前に紐づけられているだけでは、人物をすぐに特定できない。企業が成長し、100名以上の組織になると、人事担当者といえども、社員の名前と顔を思い出すのは困難だ。そもそも、給与や勤怠データ以外のキャリアに関する情報は、社内に散在しているケースが多く、社員の適材適所を実現するためのデータ収集そのものが難しい。誰が誰か分からなくなる状況を、柳橋社長は、かつて他社で人事部長をしていた頃の原体験として持っていた。

『カオナビ』を導入すれば、社員個々のスキル、営業成績、人事評価や異動の希望のデータ等も社員の顔写真とともに一覧できる。人事担当者や管理職はまったくストレスフリーに、直感的、瞬間的に人物を特定できる。

日本の労働人口減少は深刻であり、人出不足に悩む企業にとっては、自社のリソースを最大限有効活用するための人材マネジメントシステムの導入が喫緊の課題である。これまで社内に散在、もしくは人事部にクローズされていたデータを活用し、企業内に埋もれているクリエイティブな才能、チャレンジ精神あふれる若手や、リーダーとして組織を強くする能力を持った人材を発掘しなければ、生き残ることは難しい。これは、詳細な人材データベースを元に、経営トップや中間マネジメントが自ら見つけるしかないものである。また、社員にとっても社内で希望の部署に配属されたり、適職を見つけたりすることができれば、モチベーションや生産性も高まる。
「顔を見て判断したいという人間の原始的なニーズに基づいているため、今後も着実に伸びていける。働き方改革のトレンドを追い風に、『カオナビ』の利便さを知らない企業に提案していくことで、顧客基盤をさらに拡大してきたい」と柳橋社長は熱く語っていた。

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情報提供元:FISCO
記事名:「IPO企業 ~社長の横顔~ カオナビ