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ビジョン Research Memo(6):グローバルWiFi事業は個人向け、法人向けともに利用件数の2ケタ成長が続く


■ビジョン<9416>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) グローバルWiFi事業
グローバルWiFi事業の売上高は前期比30.0%増の13,505百万円、セグメント利益は同51.5%増の2,413百万円と大幅増収増益となり、セグメント利益率も同2.6ポイント上昇の17.9%と過去最高水準を更新した。また、レンタル利用件数は前期比35.2%増の223.1万件となっている。平均顧客単価が下がったように見えるが、これは平均単価の低い個人向けの構成比率が前期の57.0%から62.6%に上昇したことによる。個人向け、法人向けと属性ごとに分けて見ると、平均単価はほぼ横ばい水準であった。

レンタル利用件数のうち、海外利用(日本→海外)は前期比35.1%増の175.9万件、国内利用(海外→日本)は同42.6%増の40.7万件、海外事業(海外→海外)は同3.4%増の6.4万件となった。同期間における海外渡航者数は前期比6.0%増の1,895万人※1、訪日外国人旅行者数も同8.7%増の3,119万人※2となっており、同社サービスはこれらを大きく上回る成長が続いている。

※1 出入国管理統計。
※2 日本政府観光局(JNTO)統計。


このうち、海外利用を属性別で見ると個人が前期比48.3%増の110.1万件、法人が同17.5%増の65.8万件となり、個人での利用が大きく伸張した格好となっている。Wi-Fiレンタルサービスの認知度が向上したほか、旅行シーズンにおいて効果的なキャンペーン施策を打ったこと、第4四半期に入ってから集客経路の1つであるインターネットの比較サイトにおいて、顧客評価の高い順に表示されるようになったことも寄与したと見られる。また、新規とリピートの利用状況を見ると、新規利用件数が同31.3%増、リピート利用件数が同38.4%増となり、法人だけでなく個人のリピートユーザーも増やしつつ、新規顧客も伸ばす理想的な成長循環になっていると言える。

セグメント利益率の上昇要因は、前述したとおり通信回線調達コストの抑制とクラウドWi-Fiルーターの導入によるオペレーションコストの低減が大きく寄与している。通常、通信キャリアが提供するデータ通信サービスはボリュームディスカウントが効きやすいため、高成長が続く同社にとって仕入条件の改善につながることになる。

また、クラウドWi-Fiルーターの出荷比率は2018年12月時点で約88%と、前年同期の約51%から大きく上昇した。クラウドWiFiサービスでは、クラウド上でSIMを管理するため通信回線の効率的な利用が可能となるほか、物理的なSIM(個人識別ID)カードの差し替えが不要になるといったメリットがある。従来であれば、ユーザーから返却されたWi-Fiルーターは、一担出荷センターに収集してSIMの容量チェックや差し替えを行う必要があったが、クラウドWiFiサービスではこうした作業が一切不要なため、出荷センターにおけるオペレーションコストの低減につながっている。また、クラウドWi-Fiルーターは空港カウンターでそのまま保管できるため、回転率の上昇や物流コストの低減にも寄与している。2018年9月に台風の影響で関西国際空港が閉鎖した際に、海外渡航者は他の空港からの振替え出発を余儀なくされたが、クラウドWi-Fiルーターでは他の空港でもスムーズに受渡しを行うことが可能なため、利用機会を逸失することなくその強みが生かされる格好となった。なお、クラウドWi-Fiルーターの出荷比率は9割程度が上限と見られる。クラウドサービスに対応していない国と地域が一部あるためだ。

また、省力化施策としては、各種問合せに対してAI・RPAツールを導入(FAQやチャットボット対応)することで、コールセンターの人員増の抑制に取り組んだほか、Wi-Fiルーターの受渡業務でも、空港での自動受渡しロッカー「スマートピックアップ」を新たに中部国際空港にも新設し(合計5空港に導入)、合計で前期末の8機から18機に増設したこと、法人向け備え置きプラン「グローバルWiFi for Biz」の拡販に取り組んだ。このうち、「スマートピックアップ」の増設については、空港カウンターで発生していた長い行列の待ち時間を解消し、当日利用客の他社流出を防ぐ効果もあったと見られる。

(2) 情報通信サービス事業
情報通信サービス事業の売上高は前期比9.4%増の7,773百万円、セグメント利益は同3.9%増の1,218百万円と増収増益基調が続いた。主要ターゲットであるスタートアップ、ベンチャー企業の取り込みが順調に推移したほか、CRMによる継続取引の積み上げ及びアップセル/クロスセル戦略が順調に進んだことが増収増益要因となった。商材別では、携帯電話販売が減少したものの2016年6月より取扱いを開始した電力サービス「ハルエネでんき」がコストメリットの大きい飲食店向けを中心に好調に推移した。電力サービスはクロスセルによる獲得であり収益性が高く、増収増益に貢献している。

セグメント利益率が前期の16.5%から15.7%に低下したが、これは第4四半期からLED照明の販売方法を売り切り方式からレンタル方式に変更したことに伴い、仕入原価の先出し計上を実施した一時的な要因による(2019年12月期よりレンタル資産として3年間の減価償却へ変更)。第3四半期累計では前年同期の16.5%に対して17.3%と利益率も上昇傾向にあった。

(3) その他
その他の売上高は前期比283.8%増の224百万円、セグメント損失は194百万円(前年同期は102百万円の損失)となった。広告メディア事業が順調に伸びたほか、2018年春よりサービスを開始した「ProDrivers」が売上増に寄与した。ただ、いずれも先行投資段階にあり損失拡大要因となった。

「ProDrivers」に関しては、都内でハイヤーの予約・送迎サービスを開始したほか、海外でも提携先企業が運営する空港送迎予約サービスの取次ぎを開始した。自社サービスに関しては期末でハイヤー30台、ドライバー30人体制となり、着実に売上を伸ばしている。利用者の属性は法人6割、個人4割となっており、法人では不動産会社やテレビ局など当初想定していなかった利用方法での需要が増えている。不動産会社では、顧客と物件を見に行く際の移動手段としてだけでなく、車内での商談も行うことが可能なため利用件数が伸びている。また、テレビ局では取材、撮影等に出かける際に、現場での駐車場の確保が課題となっていたが、同社サービスを利用することで課題を解消している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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