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sMedio Research Memo(4):第2四半期は減収・営業減益も、経費節減等によ利益改善


■業績動向

1. 2018年12月期第2四半期連結決算の業績概要
8月10日、sMedio<3913>は2018年12月期第2四半期連結業績の発表を行った。売上高は534百万円で前年同期比8.8%減、営業利益は29百万円(同31.3%減)、経常利益は29百万円(同31.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が12百万円(同29.4%増)であった。また、期初計画比で見ると、売上高は76百万円の減(同12.6%減)、営業利益は19百万円の増(同201.2%増)であった。

売上高はソフトウェア搭載機器の出荷台数が前年同期を下回った影響が大きく、前年同期比51百万円の減(計画比76百万減)となった。収益区分別に見ると、ソフトウェア搭載機器の出荷台数が前年同期を下回ったことで、ロイヤリティ収入が前年同期比37百万円の減(計画比29百万円減)であった。開発収入については、子会社タオソフトウェアの開発案件の完成が第3四半期にずれ込んだ影響で前年同期比18百万円の減(計画比55百万円減)であった。保守・サポート収入はタオソフトウェアの貢献で前年同期比4百万円の増(計画比7百万円増)であった。

売上高全体の落ち込みにより売上総利益が40百万円減少したが、のれん償却費負担の減少7百万円、前年同期の本社移転関連費用16百万円のはく落等により、営業利益は前年同期比13百万円減の29百万円(計画比19百万円増)にとどまった。経常利益については、為替差損益が微小に抑えられており、営業利益と同水準の29百万円(前年同期比13百万円減、計画比23百万円増)となった。営業利益・経常利益が計画比で改善となった要因は、開発人員の採用が一部第3四半期にずれ込んだことによる人件費増加幅の縮小や、旅費交通費などの経費節減に努めたことによるものである。

2. 収益区分別の状況
同社は、収益区分別の売上高を情報開示している。ソリューション別などの事業区分や区分別の損益などの情報開示については今後の課題と考えられる。

(1) ライセンス・ロイヤリティ収入
同社の主軸となるライセンス・ロイヤリティによる収入であり、売上構成比で7割前後を占める。同社の開発した組込みソフトウェアが、顧客の販売した機器・OSなどに搭載されている場合に、顧客から得られる使用料である。顧客から一定期間(主に四半期単位)ごとに、出荷実績報告に基づいて支払われる。米国Microsoftなど海外比率が5割程度となっている。2018年12月期第2四半期の当収入による売上高実績は373百万円(前年同期比37百万円減)であった。同社ソフトウェア搭載機器の出荷台数が前年を下回ったことで減少した。東芝<6502>など大口顧客における収入減が影響した。なお、ロイヤリティ収入の伸び悩みについて同社は1つの課題と捉えており、後述の2018年12月期の重点施策・成長戦略の部分で詳述する。

(2) 受託開発収入
ソフトウェア開発を受託した場合の収入である。同社創業当初はこの収入が主体であったが、ライセンス収入主体の収益モデルに転換するなかで全体構成比は縮小し、直近では20%台となっている。2018年12月期第2四半期の当収入による売上高実績は123百万円(前年同期比18百万円減)であった。子会社タオソフトウェアの開発案件の完成が第3四半期にずれ込んだ影響などで減少した。

(3) 保守サービスサポート収入
同社の販売した組込みソフトウェアの保守・サポートの収入である。2018年12月期第2四半期の当収入による売上高実績は37百万円(前年同期比4百万円増)であり、タオソフトウェアの保守・サポート収入が増えたことによる。


保有外貨残高の圧縮と為替予約実施で今後の為替リスクは軽微に
3. 為替リスクの状況
同社のロイヤリティ収入のおおむね5割は米ドル建の入金である。 一方で、取引先への米ドル建の支払ロイヤリティも全支出の2~3割程度あり、外貨建現預金について従来は円と米ドルをバランスさせる程度の円転をしていた。しかし、2016年12月期は年初以降の円高(2015年12 月末120.37円に対し、2016年9月末101.19円)の影響で、円とドルをバランスさせていたことで大幅な為替差損が発生した。

今後、為替レートの変動が円高・円安いずれの方向に振れるかは予測困難であるが、同社では外貨預金残高、特に米ドルの保有残高を少なくして、かつ、為替予約を活用して為替リスクの軽減を行うとしている。 実際、2017年12月期及び2018年12月期第2四半期の為替影響はそれぞれ1百万円前後の損失にとどまっている。2017年12月末以降で米ドルの割合がやや上昇しているのは、米国子会社で預り金が生じたためで一時的なものである。2018年6月末時点では、米ドルの残高は全預金残高の約15%程度となっている。


高い自己資本比率と潤沢なキャッシュ・フローで機動的M&Aにも対応
4. 財務状況と経営指標
財務状況は良好である。2018年12月期第2四半期末における総資産は前期末に比べ63百万円減少し1,702百万円となった。主な内訳を見ると、流動資産が前払いライセンス費用の払い出しによる原材料及び貯蔵品の減少70百万円に対し、仕掛品の増加30百万円などで前期末比38百万円の減少。固定資産がのれんの償却による16百万円減少などで25百万円の減少。流動負債が前受収益の減少などで前期末比8百万円の減少、固定負債が長期借入金の約定返済による減少62百万円などで前期末比62百万円の減少、などとなっている。

経営指標を見てみると、2018年12月期第2四半期末で同社の自己資本比率は76.4%となっている。内部留保が厚く、自己資本のうち9割超が現預金残高で手元資金は潤沢である。ロイヤリティ収入が主体のため、売掛金残高も比較的少なく、流動比率は一般的に健全と言われる200%以上をはるかに上回り400%以上を維持している。前々期第4四半期でライセンス費用の前払いに充当するため、約3.7億円の長期借入を行い、その残高が一部残っているが、着実に返済が進んでおり、有利子負債比率は逓減している。借入は機動的なM&Aのために手元現預金を確保することと、為替差損の縮小などの目的で行っており、一時的なものと考えられる。また、今後は新規事業開発に注力することで、M&Aによる投資や受託開発部分の売掛金の増加も想定されるが、全体のバランスシート上では影響は軽微と思われる。収益性を表すROA、ROE、売上高営業利益率については、ロイヤリティ収入の伸び悩みによる収益の低迷を反映して、前年同期比でやや悪化したり低水準に見えたりするが、前期末比では改善している。一時的な収益低迷はあるものの、引き続き比較的潤沢なキャッシュも保有し、今後想定されるAI、IoTなどの新規分野への展開に対して成長投資を行うことが可能な財務状況である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)



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