KLab Research Memo(8):好調なゲーム事業へ特化する方向へ事業方針を変換
1. 事業方針の変更
スマートフォンゲームを取り巻く環境変化が厳しいなか、ここ数年にわたってKLab<3656>は、内部開発によるゲーム事業中心から、外部開発/パブリッシングによるゲームタイトル数を増加させるほか、非ゲーム事業の推進により、三分鼎立(さんぶんていりつ)の状態を目指してきた。ただ、前期において新作タイトルが順調に立ち上がり、既存タイトルも好調であったことから、特定タイトルに収益依存せず複数タイトルからバランスよく収益を獲得できる構造になってきたこと(ゲーム事業のボラティリティの高さが経営に与えるリスクが後退したこと)を理由として、好調なゲーム事業に特化(経営資源を集中)し、ゲーム事業で更なる成長を目指す方向へと舵を切った※。
※ゲーム事業とシナジーが高い新規事業(ゲーム周辺事業)は常に検討。
それに伴い、ラーメンアリーナ事業はフードマーケティングアジア(株)(FMA)※に譲渡するとともに、非ゲームの未事業化案件は同社代表取締役である真田氏がMBOを実施した。なお、本件における業績及び財務に及ぼす影響は軽微と考えられる。
※2016年8月に設立したKLab Food&Culture(株)(KFC)の同社持ち分(70%)全部を、飲食ビジネスのノウハウを有するパートナー会社で、共同出資者でもあるFMAへ譲渡した
2. 今後の方向性
同社は、ゲーム事業を更に成長させるために、(1)Japanese IPs(有力IPの獲得)、(2)Global Growth(海外パブリッシングの強化)、(3)Original Creations(自社IP創出)の3つのキーワードを掲げ、以下の施策に取り組む構えである。
(1) Japanese IPs(有力IPの獲得)
a) IPタイトルの高ヒット実績を生かした人気IPの獲得により、引き続き長期安定運営を目指す。
b) 中国を含む海外展開力を養い、パブリッシャーとしての魅力を高める。
c) アニメ出資等を通じてIPホルダーとの関係を強化する。
(2) Global Growth(海外パブリッシングの強化)
a) 海外展開によりゲーム1タイトルあたりの収益の最大化する。
b) 欧米・アジアにおけるパブリッシングを強化する。
c)世界最大規模の市場となった中国でも配信を強化し成長を加速する。
(3) Original Creations(自社IP創出)
a) 原作開発に秀でた人材の獲得、パートナーアライアンス、社外の有力クリエイターとの連携を強化。
b) アニメ化などのメディアミックス展開等でコアなファン層を育成。その後ゲーム化し、ゲームのヒット率を高める(すなわち、音楽やライトノベル、ドラマCD、コミック、アニメ、興行等の複合的なメディア展開を行った上で、ゲーム化の可能性を探る)。
c) ゲーム化未決の作品も世に送り出していく。
弊社では、スマートフォンゲーム市場の先行きに不透明感があるなかで、海外への展開、残存者利益の享受(外部リソースの活用を含む)が同社の成長を支えるものとみており、その動向に注目している。また、運営力の高さが発揮されてきたことや、「リスクヘッジよりも売上成長」をキーワードとしたゲーム事業への集中・非ゲーム事業等の整理も経営の安定性を評価するうえで、プラスの材料と言える。今後も、日本のIPをゲーム化し世界中へ展開していくノウハウや独自のマーケティング力を生かして、いかに同社ならではの新たな価値を創出していけるかが成功のカギを握るだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<NB>
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