ベネ・ワン Research Memo(3):会員制インターネットモール「ベネフィット・ステーション」を展開(1)
1. 事業概要
ベネフィット・ワン<2412>は、国内において9つの事業を展開しており、福利厚生事業、インセンティブ事業、ヘルスケア事業、BTM事業、コストダウン事業、ペイロール事業、パーソナル事業、CRM事業、インバウンド事業により構成されている。このうち、福利厚生事業、パーソナル事業及びCRM事業が、ユーザー課金型サービスマッチングサイトである「ベネフィット・ステーション」を共通した経営資源とする。ユーザー課金制であるため、サービス提供企業から他サイトのように都度手数料を徴収せず、その分を割引価格という形でユーザーに還元する。そのため、ユーザーは利用すればするほど割引メリットを得られることになる。
2. 事業別売上高構成
2017年3月期の連結売上高29,478百万円の事業別構成比は、福利厚生事業が48.5%、インセンティブ事業が12.7%、ヘルスケア事業が16.9%、パーソナル事業が14.1%等となった。海外事業は1.0%であった。2017年3月期までの3期間の年平均成長率は、福利厚生事業が4.9%にとどまったものの、パーソナル事業が53.2%、インセンティブ事業が27.7%、ヘルスケア事業が14.3%の高伸長を見せ、それぞれの売上高構成比が10%を超えた。
営業利益は、BtoBの福利厚生事業、BtoCのパーソナル事業とCRM事業が、「ベネフィット・ステーション」を共有していることから、合算された区分となる。同区分は、2017年3月期の営業利益5,852百万円の約90%を占め、売上高営業利益率は全体の19.9%を上回る27.8%を達成している。会員増により会費収入が増加傾向にある上、オペレーションの効率化が進み、原価率の低減に成功している。インセンティブ事業は、取引先の予算が拡大しており、経費のコントロールもできているため、売上高営業利益率も14.9%と高い。ヘルスケア事業は、オペレーションの見直しと改善に集中したことから、利益面でV字回復を果たした。CRM事業、BTM事業、インバウンド事業は規模が小さく、システムの開発負担もあり収益への寄与は小さい。海外事業は、先行投資期にあるため、損失が続くが、先進的な取り組みを日本のオペレーションに活用するなど相乗効果が出ている。
3. 会員数の推移
ユーザー課金型ストックビジネスモデルであることから、会員数が積み上がるにつれて業績も拡大する。累計会員数は、2004年に100万人を突破。その後、多角化の効果もあり順調に会員数を拡大してきた。2007年には、200万人、2009年に400万人に達した。2017年4月の総会員数760万人の内訳は、福利厚生会員が428万人、CRM会員が141万人、パーソナル会員が191万人であった。2018年4月には900万人、年間で140万人の純増を計画している。
同社自身はサービスを提供する事業者ではなく、福利厚生会員とサービス提供事業者の間に位置し、サービスをマッチングするサイトとして機能する。サービス提供に当たってのインフラ機能が整備されているため、会員数の増加、サービスメニューの拡大などに連動するコストの上昇は限定的になる。
4. 総合福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」
同社の総合福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」により、会員は120万件以上の施設・サービスを割安な会員価格で利用することができる。従来の「定食型」福利厚生サービスでは、利用したいメニューがない、もしくはいつも同じメニューで飽きてしまうという不満がある。同社の「カフェテリア型」は、多彩メニューから自由に選ぶことができるため、利用者の満足度が高い。ユーザー課金型サービスのため、常にユーザー側に立った、ユーザーの課題を解決するサービスを提供するようにしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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