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ケネディクス Research Memo(1):「ケネディクスモデル」が本格稼働のフェーズに


■要約

ケネディクス<4321>は、国内最大の独立系不動産アセットマネジメント会社である。1995年の設立以降、日本の不動産証券化ビジネスの勃興期から活躍するとともに、不動産アセットマネジメント会社の草分けとして業容を拡大してきた。J-REIT(リート)の6 銘柄や私募REITのほか、多数の私募ファンドを運用しており、受託資産残高は1.7兆円を超える。国内外の機関投資家や年金基金、個人投資家など幅広い投資家層を顧客基盤に持つ。2008年のリーマン・ショックによる金融引締めや不動産市況の悪化の影響を受け、一時は資産圧縮と投資の凍結を余儀なくされたが、アセットマネジメント業務への回帰、バランスシートの再構築を経て、いよいよ2015年12月期から同社が目指してきた「ケネディクスモデル」(不動産を自ら保有せず、グループで組成・運用するファンドが保有することにより、安定的な収益力を追求)の本格稼働フェーズに入ってきた。最近では、太陽光発電所等を対象としたインフラファンドや生活密着型商業施設の開発ファンドなど、将来を見据えた新規分野の拡大にも積極的に取り組んでいる。

同社は、2017年12月期を最終年度とする中期経営計画を進めている。アセットマネジメント事業を中心とする安定収益の成長、共同投資を中心とする不動産投資事業の推進、財務の健全性と株主還元の最適なバランスの追求の3項目を重点施策とし、最終年度のベース利益※4,000百万円、3年平均ROE 8.0%を目指す内容となっている。また、株主還元についても、ベース利益に基づく継続的な配当に加えて、自社株買いも機動的に実施する方針を掲げている。

※同社の安定した収益力を示す指標。

2016年12月期の業績は、営業収益が前期比12.5%減の22,745百万円、営業利益が同5.8%減の9,530百万円、経常利益が同16.5%増の10,634百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.5%増の10,151百万円となった。2つのJ-REITの上場を含め、REIT向けビジネスにより大きく業績を伸ばした2015年12月期との比較では、その反動もみられるが、ほぼ計画どおりに堅調に推移したと言える。受託資産残高も1兆7,030億円(前期末比3.6%増)と着実に伸びている。また、株主還元については、1株当たり4円の配当に加えて、約50億円の自社株買いを実施した(総還元性向は約59%)。今後の資本政策の機動性を高めるため、資本準備金の減額(約100億円)も行っている。

中期経営計画の最終年度となる2017年12月期の業績予想について同社は、営業収益を前期比5.5%増の24,000百万円、営業利益を同14.4%増の10,900百万円、経常利益を同0.6%増の10,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同3.4%増の10,500百万円と見込んでいる。主力のアセットマネジメント事業が収益の伸びに大きく貢献する見通しであり、「ケネディクスモデル」の標準的なP/Lの形がさらに顕著になるとの見方ができる。2017年12月末の受託資産残高として1兆8,000億円(前期比5.7%増)を想定するとともに、ベース利益についても4,000百万円(前期比30.2%増)と大きく伸ばす計画であり、中期経営計画の達成を見込む。

弊社では、「ケネディクスモデル」が本格稼働のフェーズに入ってきたことや、受託資産の拡大に向けた物件供給パイプラインも順調に進んでいることなどから、同社の業績予想、並びに中期経営計画の達成は十分に可能であると判断している。むしろ、中長期的な視点から、ヘルスケア分野やインフラ分野等、市場拡大の期待できる対象資産への取り組みや不動産関連サービスの拡大、海外展開など、2018年12月期以降の成長に向けた動きに注目している。足元では物件取得が難しい状況(取得競争の激化、価格の上昇等)が続いているが、将来を見据えた新規分野への取り組みが着々と進展していることから、同社の中期的な成長性に変調をきたすものではないとみている。

■Key Points
・2016年12月期の業績はほぼ計画通りどおりに堅調に推移
・バランスシートの再構築が完了し、2016年12月期から「ケネディクスモデル」の本格稼働
フェーズに
・新規分野の拡大や海外展開などにより受託資産残高を積み上げ、持続的な成長を目指す戦略

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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