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金需要「プラス1%」の背景に迫る!もっと知りたい商品先物取引(高井ひろえ)


みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。商品先物市場に投資することの面白さを皆さんと一緒に学び知識を深めるべく、本コラムを書くことになりました。私が商品先物投資の面白さを知ったのは、会社の先輩から教えてもらったことがきっかけです。先輩は、金融業界に携わる最初のステップとして、商品先物市場を学び始めたそうです。日々変わりゆく商品価格には、気候や人間の営み、世界の経済動向などが幅広く密接に関わっているので、広い視点でマーケットを見るのに役立つからとのことでした。さらにいうと、商品は私たちの生活との関りが深いです。これからの寒い季節にはストーブを動かすための灯油があるといいですし、腕にさりげなくつける金のブレスレットはとても素敵です。そんな身近な商品も日々刻々と価格が変動しているのです。

では、そんな商品の中でも、今回は金をクローズアップして見ていきます。最近、金の価格がどんな要因で動いているのかをお伝えしていきます。

まず、先週金曜日(11月2日)に発表された米国の雇用統計を受けて、金価格がどう動いたのかを見ていきましょう。米国の雇用統計は毎月第1金曜日に発表されます。米国の雇用の状況がわかり、この経済指標から米国の景気の良さが読み取れます。米国は世界で一番の経済規模を誇るので、世界経済の状況を読む上でも重要視されています。今回の結果は、非農業部門就業者数が25万人増加。事前予想の18万8千人を大きく上回りました。失業率も低水準で継続しており、平均時給は前年同月比で+3.1%上昇。2009年以来ほぼ10年ぶりの高い伸びを示しました。つまり、ほぼ完全雇用の状態で、好景気が継続しているということがいえます。ただ、経済が好調な場合、必ずしも金は買われるわけではありません。実際に雇用統計当日の金価格は下落しました。加熱した経済に陰りがさした場合、株式などに投資をしているとリスクが高いと判断されることもあり、その時には資金の逃避先として金が買われるケースもあります。

ではもっと長い期間でみてみましょう。2018年7-9月の金需要はトータルでは前年同期比1%と微増になりました。(World Gold Councilより)金の買い方にも色んな方法があります。コインや金の延べ棒として買う、あと宝飾品やETFなどです。今回の増加の背景として、金需要全体の半分強を占めるという宝飾品向けが前年同期比6%増加となったことが寄与しました。

では各国・地域ではどのような動きがあったのでしょうか。この「トータル1%増加」の裏側に迫りましょう。インドでは、宝飾品としての需要が前年同期比10%の増加となりました。この大きな伸びの背景には、比較対象となる前年同期の価格が安くなっていたことがあります。昨年7月から物品税が新しく導入され、前月までの駆け込み需要の反動から7月は価格が下落。さらに8月にはインド国内で施行されたマネーロンダリング法により宝飾品を買った人の名前届け出義務が課されたこともマイナス材料となりました。2018年7-9月期にはインドルピーが下落したため金に資金が向かい価格が上昇しました。

中国でも宝飾品としての需要が10%増加しました。中国の宝飾品市場(金以外も含む)は世界最大といわれており、金市場への影響も小さくないです。中国では伝統的に純度100%の金が好まれているものの、最近では純度が下がってもファッション性の高いデザインのものが売られており、幅広い消費者に好まれているようです。

中近東は全体では12%の減少となりました。イランとトルコはマイナスに。イランは経済封鎖の影響が大きく、トルコは通貨リラの急落により投資家の心理が冷え込んでしまった影響を受けました。一方、サウジアラビアでは需要が増加。同国では、自国通貨のリアルの相場を米ドルと連動させるドル・ペッグ制を導入しているので、ドル高に伴い自国通貨が強くなり、相対的に金価格が安くなったので買われることになりました。

金の価格ひとつを見てみても、世界各国の様々な国の政策や経済動向、地政学的リスクなど色々な要素が絡み合っていて興味深いですね。金の宝飾品としての需要の高さも、国民の嗜好が現れていてそれが価格に反映されるのが面白いです。次回以降のコラムでも商品先物の価格変動とその要因について読み解いていきましょう。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ





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