以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家 こぺる(ブログ:こぺる100番台、ツイッター:@coperu100)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2018年6月6日9:00時に執筆

2018年6月4日、SBIホールディングス<8473>(以下、SBIHD)の100%子会社のSBIバーチャル・カレンシーズ(以下、SBIVT)が仮想通貨の現物取引サービスVT TRADEの提供を開始しました。リップル(XRP)の取扱から開始され、ビットコイン、ビットコインキャッシュへと拡大されていく予定となっているようです。今回は「VT TRADEの開業が与える仮想通貨業界への影響」について考察してみます。

ポイントは、以下の2点です。

(1)SBIグループが有する顧客の仮想通貨市場流入
(2)投資家の裾野の拡大

まず、(1)のSBIグループが有する顧客の仮想通貨市場流入に関して考えてみます。

SBIグループの預かり資産は17兆円以上、顧客基盤は700万口座を超える。
これが前提条件です。

もう少し詳細に説明します。SBIVTと親和性の高いSBI顧客基盤の主な内訳は、以下の2社です。
(1)SBI証券:預り資産:約12.9兆円、口座数:426万(18.3月末)
(2)住信SBIネット銀行:預り資産:4.4兆円、口座数:321万(18. 3月末)
それぞれについて、見てみましょう。
(1)SBI証券の預り総資産は、合計約12.9兆円。2位の楽天証券から5位のカブドットコム証券までの4社の合計は14兆円なので、SBI証券1社だけで、5社合計の48%を占めます。
また、口座数は426万を超えており、他の4社合計で635.6万口座なので、SBI証券は5社合計の40%を占めます。つまり、SBI証券の顧客層は、他の証券会社よりも保有資産が多いことが推測できます。
コインチェックを買収したマネックスグループ<8698>に限定すると、規模は業界3位で口座数は176万、預かり資金で4.2兆円であるため、預かり資産ではSBIと3倍以上の開きがあります。
(2)住信SBIネット銀行は、4.4兆円の預り資産に、321万口座。預かり資産と口座数の双方でオンライン銀行業界のNo.1の地位を占めています。
つまり、ネット証券・銀行の領域でSBIは業界最大手ということです。そのグループが、満を持して始めるのが仮想通貨の現物取引サービスVT TRADEです。
では、どの程度の資金流入が見込めるのでしょうか。
◆VT TRADEに、グループ顧客から1兆円流入?

これまで見てきたように、SBIグループ合計で17兆円の預り資産に、700万を超える口座があります。

単純計算ではありますが、仮に顧客の5~6%が流入すると、SBIグループ顧客からだけで約1兆円の流入が見込めるのではないか、と想定しています。

◆少なくとも20歳以上人口の約10%程度が何らかの形で投資に携わっている
少し古いデータだが、平成27年度に実施された証券投資に関する全国調査の証券種類別保有状況よると、株式を現在保有しているのは20歳以上の12.7%で、約1,324万人、投資信託は8.7%で約907万人、公社債は3.6%で375万人。

つまり、20歳以上人口の少なくとも約10%程度が何らかの形で投資に携わっている計算です(参考:「いずれかの有価証券」の保有率は 18.2%)。

◆仮想通貨の保有割合は3~4%

マイボイス社による『仮想通貨』に関するインターネット調査(2018年3月1日~5日に実施、10,857件の回答)によると、仮想通貨の保有経験者は2.8%となっているようです。博報堂が実施した仮想通貨に関する生活者調査(1万人対象)では、保有割合は4.6%です。実際は、上記2つの調査の中間の3.6~3.8%程度と推測されるものと思います。

◆仮想通貨はアーリーアダプターの段階にある

株式等への投資層との比較では、まだまだ限られた層にしか浸透していません。イノベーター理論によると、「新しい商品・サービス」が社会に浸透する過程を、採用の早い順で以下のように分類しています。

イノベーター:2.5%
アーリーアダプター:13.5%
アーリーマジョリティ:34 %
レイトマジョリティ:34%
ラガード:16%

これに照らし合わせると、既存の投資はアーリーマジョリティの一部にまで浸透していると考えられます。一方の仮想通貨は3~4%程度であるため、アーリーアダプターの初期段階に過ぎません。では、保有を検討している方々は、保有にあたって何を重視しているのでしょうか。

◆仮想通貨の保有意向者が重視するのは『価格』と『信頼性』

上述のマイボイスの調査で、仮想通貨の保有を検討している層では、取引所・販売所選定時の重視点は、「手数料の安さ」「セキュリティの信頼性」が4~5割、「会社の信頼性」「割安価格で購入できる」が各3割強。つまり、『価格』と『信頼性』ということです。

ここからは、コインチェックのNEM流出の事件などを受け、投資家の安全意識の高まりが読み取れます。

SBIは『スプレッドを最狭』にすることを宣言しているため価格競争力があるとみられますし、金融業としての信頼もネット証券・ネット銀行の領域であります。また顧客層は主に30~40代の比較的若手が多いこともあるため、仮想通貨投資に4~5%が流入し、投資家層の裾野が広がることも十分に想定できると個人的に考えています。


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執筆者名:こぺる
ブログ名:こぺる100番台 元SBI社員による仮想通貨投資


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情報提供元:FISCO
記事名:「こぺる:SBIのVT TRADE開業で見込まれる資金流入の規模は? 【FISCOソーシャルレポーター】