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原油とルーブルの価格別で試算、ロシアの経常収支と外貨準備の行方


2月24日にロシアがウクライナに侵攻して約3週間が経過した。その間、ロシアに対する西側諸国の金融・経済制裁が発動され、ロシアは経済的な苦境に陥っている。外貨準備の凍結、SWIFTからの除外で、決済や貿易にも大きな支障をきたし、ルーブルはドルに対して一時50%も安くなり、足元のインフレ率も2桁を超えている。

今回は特にロシアの貿易収支、経常収支に焦点を当て、原油価格やルーブル相場、そして制裁の度合いなどを加味した場合、現状で半分程度が凍結されているとされる外貨準備がどの程度の期間で枯渇するのかを試算してみる。無論、単純化した試算、仮定を置いた状況であるので、現実にそぐわない点もあるが、ロシア国力の一角をイメージすることは可能であろう。

結論から申し上げると、以下の計算前提の詳細「北海ブレント100~150ドルの間」「ドル・ルーブル100~150ルーブルの間」「制裁(2)~(3)の間」における予想経常収支の平均値は約▲1,250億ドル(年)となり、人民元の外貨準備や通貨スワップだけで埋め合わせできるのが7~9ヶ月程度、金、SDR、ドル現物なども使用できとしたら2年弱~2年半程度を埋め合わせできるという計算になる。

以下、計算前提の詳細となる。

■貿易収支
ロシアはエネルギー分野の輸出が全体の半分を占めることもあり、エネルギー価格に貿易収支の値が影響を受けやすい。今回は2006年1月~2021年9月までの貿易収支の値を利用し、2021年9月の貿易収支に基づいて、他の品目の輸出入金額がコンスタントと仮定(また、原油輸出及び天然ガス輸出金額が北海ブレント先物と線形相関があると仮定)した場合の貿易収支を計算してみた。試算した貿易収支は、以下の原油価格(北海ブレント先物)別となる。
・北海ブレント先物価格80ドルの場合の貿易収支。
・北海ブレント先物価格100ドルの場合の貿易収支。
・北海ブレント先物価格150ドルの場合の貿易収支。
・北海ブレント先物価格200ドルの場合の貿易収支。

■経常収支
経常収支は、上記の貿易収支、サービス収支、資本収支を引いて算出している。サービス収支、資本収支のマイナスは過去5年平均(▲90,282百万ドル)に為替変動(ルーブル安)を考慮している。試算した経常収支は、以下の為替相場(ドル・ルーブル)別となる。
・ドル・ルーブル75ルーブルの場合の経常収支。
・ドル・ルーブル100ルーブルの場合の経常収支。
・ドル・ルーブル150ルーブルの場合の経常収支。
・ドル・ルーブル200ルーブルの場合の経常収支。

■制裁の度合い
制裁の度合いを以下の3パターンに分類して、貿易収支を減額するシナリオを作成している。
・制裁(1):エネルギー輸出が6割程度まで落ち込んだ場合(欧州のみエネルギー輸入を大幅圧縮)。
・制裁(2):エネルギー輸出が3割程度まで落ち込んだ場合(中国以外がエネルギー輸入を大幅圧縮)。
・制裁(3):中国以外に輸出入先がなくなった場合(貿易収支が均衡)。

■ロシアが使用できる可能性のある外貨準備等
・人民元(外貨準備):820億ドル。
・人民元(通貨スワップ):240億ドル。
・金(外貨準備):1,322億ドル。
・SDR(外貨準備):240億ドル。
・ドル(※):600億ドル。

※当ドルはアメリカに保管されていないというだけで、どのような方法で保管されているのか、使用できるかは不明。
※表のグレー部分の想定経常収支の平均が1,250億ドル。

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