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新型コロナのワクチン効果とは【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】


ワシントン大学医学部保健指標評価研究所(Institute for Health Metrics and Evaluation、IHME)は、新型コロナウイルスのワクチンが新規感染者数にどのように影響を与えるかについて分析している。当初のワクチン接種ペースが速いイスラエル、イギリス、米国では、ワクチン接種による死亡者数と新規感染者数の減少率が高い。理由は不明なものの、ワクチン接種が始まっていない日本でも、このシミュレーションではイスラエルに次いで高い減少率が見込まれていた。3ヵ月半の死亡者数の低下率は、イスラエル52.3%、日本38.5%、米国19.4%、イギリス14.7%と予想されている。

IHMEのシミュレーションはベースライン、ワース、マスクの3種類のシナリオについて予測したものである。それぞれの前提条件は、モビリティ、変異株、ワクチン接種、マスク着用についての4項目で、予測期間は2月1日からの4ヵ月間である。

南アフリカの変異株が世界に拡散し、ワクチン接種済人口全員のモビリティがパンデミック前の水準に戻るという悪条件の下では、ベースラインに比べて、死亡者数は11%~104%、新規感染者数は35%~120%、それぞれ増加する。一方で、マスク着用率が高まることで(あるいは社会的距離政策の緊縮化を維持することで)、標準シナリオに比べて、死亡者数が4%~23%、新規感染者数が10%~49%減少する。

IHMEは新規患者数が減少している理由として、ワクチン普及とウイルスの季節的変動性という2つの要素を挙げた。しかし、ワクチンの効果よりはマスク着用や他人との接触の自制等の効果が、遅れて現れているという分析もある。新型コロナウイルス変異株の流行に伴い、ワクチン接種が急増しているとしても、今後数ヶ月で感染を遅らせる要因になる可能性は低いと示されている。今後もマスク着用など防疫措置を継続する必要があろう。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

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