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日本の生産性のカギを握る中小企業【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】


日本生産性本部によると、2019年の日本の時間当たり労働生産性は47.9ドル(就業1時間当たり付加価値)と、OECD加盟37ヵ国中21位であった。日本の労働生産性は、米国(77.0ドル)の62.3%の水準で、1988年と同水準である。主要先進7ヵ国では、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。

菅内閣が進める「中小企業改革」の有識者メンバーでもある元金融アナリストのデービッド・アトキンソン氏によると、「日本の生産性が低い最大の原因は中小企業である」という。2020年12月1日の第5回成長戦略会議に提出された「実行計画」(※1)では、足腰の強い中小企業の構築として、規模拡大を通じた労働生産性の向上、事業再構築等への支援、大企業と中小企業との取引の適正化などが盛り込まれた。先般の税制改正でも、「DX投資ならびに事業再構築・再編に向けた投資に企業が取り組むための繰越欠損金の控除上限引き上げ」、「譲渡を受ける中小企業に対する税制上の措置」が実現した。

アトキンソン氏によれば、労働者の7割が中小企業で働いていること、大企業の生産性に対する中小企業の生産性は5割程度であることから、中小企業の生産性を向上させる必要があり、そのためには規模拡大が重要であるという。大企業に対する中小企業の生産性比率は、日本が50.8%であるのに対して、EU28ヵ国は66.4%である。日本の大企業に対する中小企業の生産性をEU28ヵ国と同じ66.4%まで引き上げることができれば、生産性は546万円から791万円の1.45倍に増加する見込みである。大いなる前進ではあるが、それでも日本の生産性はOECD加盟37ヵ国中14位にまでしか改善しない。日本が競争力を取り戻すためには、大企業の生産性改善も不可欠であろう。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

※1:https://web.fisco.jp/platform/selected-news/fisco_scenario/0009330020201223007

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