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アマゾン・エフェクトの脅威vol.3 「アマゾン恐怖銘柄指数」とは【フィスコ 株・企業報】


◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 −10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の特集『アマゾン・エフェクトの脅威』の一部である。全9回に分けて配信する。


米アマゾン・ドット・コムの急成長・急拡大による市場での混乱や変革。一大現象となっているアマゾン・エフェクト。実店舗からオンラインへと消費者購買行動が移行し、米国内の百貨店やショッピングモールが閉鎖に追い込まれるなど、既存の消費関連企業に衝撃をもたらした。同社のさらなる買収や事業拡大は他の分野にも広がっており、その影響で収益低下が見込まれる「アマゾン恐怖銘柄指数」なるものまで設定された。アマゾン・エフェクトとはいかなるもので、これから日本にもどのような影響を及ぼすことになるのか。アメリカで起こったことを検証しながら考察してみた。

■「デス・バイ・アマゾン」アマゾンに怯える大企業たち

前回述べたように(アマゾン・エフェクトの脅威vol.2で言及)、多くの小売チェーンが大規模な店舗閉鎖を余儀なくされているが、アマゾンの躍進によって大きな打撃を受ける株式銘柄を集めた「アマゾン恐怖銘柄指数(Deathby Amazon Index)」、通称「デス・バイ・アマゾン」の注目度が年々高まっており、日本でも目にする機会が増えてきた。
米投資情報会社ビスポーク・インベストメント・グループが2012年2月に設定した「アマゾン恐怖銘柄指数」は、アマゾンの収益拡大や新規事業参入、買収などの躍進の影響を受け、業績が悪化すると見込まれる小売関連企業54社で構成されている。この54社は「事業の主な収益源がリアル店舗によるもの」であり、「販売する商品は他社の製品が中心」で、「S&P1500種株価指数とS&P小売セレクト指数に採用されている銘柄」という基準で選ばれている。

構成銘柄には、小売業世界最大手ウォルマート・ストアーズ(以下、ウォルマート)をはじめ、日本でも人気が高い会員制卸売コストコ・ホールセール(以下、コストコ)、百貨店のJCペニー、書籍チェーンのバーンズ・アンド・ノーブル、事務用品のステープルズといった米国を代表する小売企業ばかりだ。
実際、2018年6月にアマゾンが高級スーパーのホールフーズの買収発表をすると、アマゾン恐怖銘柄指数は急落した。アマゾン恐怖指数の構成全54銘柄は、2018年初から半数以上が2桁の下落率を記録していることからもわかるように、株価から見ても、小売業にとってアマゾンの脅威は増すばかりであることがわかる。

■ボイス・ショッピング市場で米国の巨人がつば迫り合い

アマゾンによる脅威が増すなか、2017年8月にウォルマートは、米グーグルとインターネット通販事業で提携すると発表した。小売業界で存在感を増すアマゾンの拡大を防ぐためにグーグルとの提携で対抗する構えだ。
グーグルのネット通販・宅配サービス「グーグル・エクスプレス(Google Express)」に、ウォルマートが日用品など数十万点を出品し、すでにグーグルの人工知能(AI)を搭載した対話型AIスピーカー「グーグルホーム(Google Home)」に向かって声を発することで、簡単に商品を注文できるようになっている。

ウォルマートとグーグルが意識しているのは、2014年にアマゾンが発売した同社製の対話型AI搭載スピーカー「エコー(Echo)」にほかならない。アマゾンはこれにより「声で買い物する」ボイス・ショッピングという新しい買い物スタイルを開拓した。

アメリカの調査会社コムスコアによると、アメリカでは、スマートスピーカーの入門機の位置づけとなる「エコー・ドット(Echo Dot)」や「グーグル・ホームミニ(GoogleHome Mini)」が30ドルと手の届きやすい価格に下がったことで爆発的に普及した結果、2017年12月から2018年2月までの3ヵ月間にスマートスピーカー所有者が50%以上増加し、2018年2月時点でアメリカ国内の普及率は20%に達したと試算している。

スマートスピーカーには、自分のスケジュール確認、天気予報やニュースを聞くなど、様々な機能があるが、この調査によると、スマートスピーカーを使ってボイス・ショッピングをしている人は、所有者のうち22%に達するという。アメリカではアマゾン主導でボイス・ショッピングの普及が確実に進展しているのだ。

調査会社ボイスボット・エーアイ(Voicebot.ai )が2018年5月に発表したレポートでは、全米の成人2億5,200万人のうち、19.7%の4,730万人がスマートスピーカーをすでに所有しているという結果になった。この調査では、スマートスピーカーのシェアについても言及しているが、アマゾンが61.9%と圧倒的な占有率になっており、2位のグーグル(26.9%)に大きな差をつけている。

この調査でもボイス・ショッピングについて聞いているが、アメリカでは26.9%がすでにボイス・ショッピングを行っているという結果になっている。

IT業界の巨人グーグルは、アマゾンに対抗できる技術力を持ちながらスマートスピーカーでアマゾンに大きな差をつけられている。ユーザーの利便性向上のために、小売業者と手を組むことで、アマゾンと対抗しようとするのは必然の流れだろう。また、ボイス・ショッピングでアマゾンに大きく先行された小売業者の危機感が大きいことも想像に難くない。

(つづく~「アマゾン・エフェクトの脅威vol.4 トランプ大統領はアマゾンを批判【フィスコ 株・企業報】」~)




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