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インフレ・金融政策はもはや重要でない


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;33307.43;+288.78TOPIX;2284.49;+19.70


[後場の投資戦略]

 日経平均は4日続伸し、連日でバブル崩壊後の最高値を更新している。前日発表された米5月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.0%と4月(+4.9%)から鈍化し、市場予想(+4.1%)も下回った。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する食品・エネルギーを除いたコア指数は前年比+5.3%と4月(+5.5%)からは鈍化したが、市場予想(+5.2%)はやや上振れた。ただ、概ね市場予想通りで鈍化基調も不変との捉え方が優勢で、株式市場は日本時間明日午前3時頃に結果公表予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ一時停止をほぼ完全に織り込む形となっている。

 また、今回の5月CPIにおいて前月比で上昇した住居費や中古車の項目は、6月以降は低下に転じる見通しで、鈍化基調はさらに加速すると予想されている。これを受け、金利先物市場では7月会合での利上げ再開を織り込む確率が依然として6割とやや高めではあるものの、市場関係者の間では、6月FOMCからの利上げの完全停止を指摘する声も聞かれている。

 ただ、パウエル議長は政策方針を二転三転させることによってFRBの信頼を失いさせたくはないだろうから、慎重な姿勢を維持せざるを得ず、明日の記者会見では利上げ再開に含みを残すことになるだろう。ただ、そうしたことも市場では既にほとんど織り込み済みであり、昨年前半までのような物価指標や金融政策決定会合がリスクイベントとなる局面はもはや終わったとみられる。

 今後の株式市場の関心事項は期待通りに世界経済がソフトランディングを果たせるかどうかだろう。そうした意味では、明日に米国で発表される5月小売売上高や5月鉱工業生産、そして、6月ニューヨーク連銀製造業景気指数や6月フィラデルフィア連銀景況指数などの景気指標の方が注目度は高いだろう。最新の5月ISM景況指数は、製造業では新規受注と受注残が大幅に低下し、拡大・縮小の境界点である50をそれぞれ10ポイント前後も下回る水準にまで低下していた(新規受注は42.6、受注残:37.5)。
また、サービス業の方も改善の予想に反して50.3と低下し、50割れが近づく形となった。こうした中、新たに景況感の悪化を確認する内容となると、ソフトランディング期待が後退する可能性があろう。

 本日は米国での利上げ停止によるソフトランディング期待や中国での景気刺激策への期待から、輸送用機器のほか、鉄鋼、非鉄金属、商社に代表される卸売、鉱業、銀行など景気敏感セクターが上昇率上位を占めている。しかし、ソフトランディングとなるかどうかは今後の経済指標の確認が必要であり、現時点での関連株の上値追いには慎重になりたい。

 一方、本日は上昇一服となっている半導体株については市場関係者の間では先高観が強く、投資家の押し目買い意欲も健在の様子。しかし、SMBC日興証券は14日付けのレポートにて、半導体製造装置前工程の市場見通しを引き下げ、また生成AI(人工知能)向け需要の業績寄与については2-3年先との見方を示し、足元の株価は期待先行と指摘し、東京エレクトロン<8035>のレーティングを引き下げた。半導体関連株がこれまでの上昇相場の主なけん引役となってきたが、筆者は半導体関連株についても現時点からの上値追いには慎重になるべきと考えている。

 一方、本日はトヨタ自動車<7203>が午前に株主総会を開くなど、株主総会シーズンが到来している。一連の株主総会が終わる頃には、外国人投資家が好む東証プライム市場の主力大型株がけん引する上昇相場は一服するとみられ、そこからは先週から徐々に出遅れ感を解消し始めている中小型株や新興株がけん引役になっていくと期待している。いまは大型株にはやや慎重の一方、中小型株・新興株には仕込み時とのスタンスで臨みたい局面だ。
(仲村幸浩)
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