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焦点は「景気悪化」にシフト


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;25064.74;-625.66TOPIX;1793.69;-36.34


[後場の投資戦略]

 メジャーSQを通過した本日の日経平均は大幅反落し、600円超の下落で前場を折り返した。既に前日の上昇幅の3分の2近くを失い、日足チャートでは25100円近辺に位置する5日移動平均線を再び割り込んでいる。SQ値も下回って推移しており、心理的な重しになっていることが窺える。

 個別・業種別ではグロース(成長)株を中心に総じて軟調で、原油など市況関連株の一角や銀行株のみ堅調。優良大型株やグロース株は前日大きく買われただけに、取引参加者のダメージは小さくないだろう。前引けの日経平均が-2.44%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-1.99%。ここまでの東証1部売買代金は1兆9000億円弱。メジャーSQだったことを踏まえると、前日から売買が大きく膨らんでいる印象は薄い。

 新興市場ではマザーズ指数が-4.64%と大幅反落。時価総額トップのメルカリ<4385>
は12%を超える下落となっている。特段の悪材料は観測されていないが、グロース株への売り圧力が改めて強まったことに加え、節目の3000円を明確に割り込んだことで損失覚悟の売りが広がったとみられる。これまで度々指摘してきたが、メルカリは昨年12月から株価下落局面が続くなかでも信用買い残を積み上げてきた。株式需給は良好とは言いづらい。

 ここまでの動きを見る限り、前日の当欄「『あや戻し』か『収束期待』か」で懸念していたとおりの展開と言わざるを得ないだろう。メジャーSQ後の需給好転に期待する向きもあったが、前日の大幅上昇で先食いしてしまった感がある。むしろ外部環境の不透明感から改めて下方リスクのヘッジニーズが高まることが想定された。

 また、前日の米市場動向を見渡すと、金融市場の懸念するシナリオも窺える。注目の原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI4月物)は1バレル=106.02ドル(-2.68ドル)と続落。投機的資金の流入一服とともに、価格高騰が需要鈍化につながるとの見方もあったようだ。とはいえ石油のシェブロン株が+2.74%となったのを見ると、価格高止まりが意識されているのがわかる。実際、本日の東京市場ではアラブ首長国連邦(UAE)が独自増産を否定したことを受け、原油先物相場は朝方上昇する場面があった。金先物はインフレヘッジ目的の買いにより国内外市場で上昇している。

 米国債市場では10年物を中心に幅広い年限で金利が上昇。10年物国債利回りは1.99%(+0.04pt)となった。期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.86%(+0.02pt)に上昇。為替市場では欧州中央銀行(ECB)理事会結果を受けて一時ユーロが買われたが、上値の重さが拭えない。ECB理事会では量的緩和の縮小を加速する方針が発表されたものの、ラガルド総裁は記者会見で景気の下振れリスクに言及したという。

 これらの動向が示唆するのは、「目先の商品高の行方」から「インフレ高止まりによる景気悪化」に金融市場の焦点が移ってきているということだろう。特に日本株は交易条件の悪化懸念がくすぶるだけに、グローバル投資家から買いの手が出にくいかもしれない。それと今晩の米国で発表される3月のミシガン大学消費者態度指数の注目度が一段と増してきそうだ。2月の同指数は62.8と10年4カ月ぶりの低水準だったが、インフレ観測が消費者心理を一段と冷やす恐れがあるだろう。

 前引けのTOPIX下落率がぎりぎり2%に届かず、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ実施への期待も持ちにくいか。後場の日経平均も軟調な展開になるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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