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日経平均は小幅続落、配当絡みの需給イベント通過後は?


 日経平均は小幅続落。49.27円安の27977.98円(出来高概算5億5000万株)で前場の取引を終えている。

 30日の米株式市場でNYダウは5日ぶりに反落し、65ドル安となった。ロシアがウクライナとの停戦交渉について「事態打開の進展なし」との見解を示したほか、ウクライナへの攻撃を継続していることもあり、停戦期待が後退した。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は3日ぶりに反落して-1.21%。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は-3.23%となり、決算発表のマイクロン・テクノロジーも売りに押された。本日の日経平均は米株安の流れを引き継いで217円安からスタート。米政権が石油備蓄の放出を検討しているとの報道を受けて原油先物相場が急落すると、商品高によるインフレ懸念が和らいだとみられ、プラス圏に浮上する場面があった。しかしその後、中国の企業景況感の悪化を受けて香港・上海株が軟調な出足となったことで伸び悩んだ。

 個別では、レーザーテック<6920>、任天堂<7974>、ソニーG<6758>などがさえない。米ハイテク株安の流れを引き継いでリクルートHD<6098>やベイカレント<6532>
は3%の下落となり、ここまで連騰していたMRO<3064>は12日ぶりに急反落。また、決算発表のマルマエ<6264>や業績下方修正のIRJ−HD<6035>、それにMROなどが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、郵船<9101>、川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株の上昇が目立ち、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>も堅調。西松屋チェ<7545>は決算や自社株買い実施を発表して大きく買われている。また、決算が好感されたERI HD<6083>は東証1部上昇率トップとなり、業績上方修正のバイク王<3377>はストップ高水準での買い気配が続いている。

 セクターでは、証券、その他製品、サービス業などが下落率上位。一方、海運業、パルプ・紙、輸送用機器などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の69%、対して値上がり銘柄は27%となっている。

 前日の米株安を引き継いで本日の日経平均は200円超の下落でスタートすると、その後下げ渋る形で前場を折り返した。日足チャートを見ると、28000円割れ局面での押し目買いが根強いと感じられそうだが、一方で上昇一服した5日移動平均線が上値を抑える格好となっている。ロシアとウクライナの停戦交渉への期待後退、中国の企業景況感の悪化などがネガティブな材料だが、米国の石油備蓄放出による需給緩和への期待が下支え材料だろう。前引けの日経平均が-0.18%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.22%。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりとやや低調な印象だ。

 個別・業種別の騰落状況を見ると物色の方向感はややつかみづらいが、米ハイテク株安の流れからグロース(成長)株がやや軟調。前日に配当落ちで大きく下落した海運株が押し目買い優勢といったところか。前日の取引時間中には伝わっているが、自動車を巡ってはトヨタ自の2月の世界生産台数が前年同月比10.9%増の74万台となり、2カ月ぶりに前年実績を上回ったという。一方、半導体を巡っては受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が家電製品の需要減速を示唆したようだ。

 新興市場ではマザーズ指数が-1.60%と3日ぶり反落。前日は配当落ちと円相場の急伸で日経平均が軟調ななか、制限値幅拡大のJTOWER<4485>を軸に新興株物色が盛り上がった印象だった。しかし、マザーズ指数は3月上旬と同様に800pt手前で伸び悩む格好となり、米金融引き締め観測から上値追いに慎重なムードも感じられる。本日はJTOWERが急反落し、メルカリ<4385>などの主力IT株も総じて軟調だ。

 さて、前日の先物手口を見ると、バークレイズ証券やBofA証券がTOPIX先物の売り越し上位に顔を出した。BofAは3月期末の権利付き最終売買日だった29日に続いての大幅な売り越し。11日の3月物の特別清算指数(SQ)算出を通過すると買い越す日が目立っていたが、配当再投資のプレポジション構築だったとの見方がある。29日、30日と続けて野村證券などの買い越しが観測されたが、BofAなどの売り越しが相殺してしまった格好だろう。24日の当欄「需給良化はある程度先取り?」などで指摘してきたとおりの動きと言える。

 年度末の配当に絡んだイベントを通過して需給良化への期待は後退気味のようだ。
また、4月4日には新生銀<8303>からオリックス<8591>へ日経平均構成銘柄の入れ替えが予定されており、明日1日の引けでリバランス需要が発生する見込み。時価総額の差がかなり大きいため、既存の構成銘柄の売り需要は大きくなるとの観測がある。短期的ながら、日経平均は週末にかけて一転して需給的に下押し圧力がかかる可能性もありそうだ。

 米株でも買い戻しの一巡感や買い疲れ感が指摘されると同時に、今後の経済・株式相場の見方が大きく割れている印象。これも25日の当欄「経済の先行きで見方分かれる?」で述べたとおり。直近では金融大手JPモルガンが株式上昇は継続するとの見方を強調する一方、モルガン・スタンレーなどはリスクの高まりから波乱を予想し、BofAは上昇局面での売却を探るよう推奨しているという。実際、昨日からの各国経済指標を見ても、米雇用が堅調な一方で中国の企業景況感は悪化と、強弱入り交じっている感がある。


 結果的に買い戻しが一巡すると売り買いが交錯、また長期志向の投資家は様子見となっていることが日米市場の動向から感じられる。差し当たり、今晩の米国では2月の個人所得・個人消費支出(PCE)が発表される。また、明日は日本で日銀短観、米国で3月の雇用統計やサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が発表される予定とあって、これらを見極めたいとの思惑が強まるだろう。また、4月に入り新年度の企業業績見通しへの関心も高まり、手掛けづらさが意識されてくる可能性もある。
(小林大純)
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