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【矢野経済研究所プレスリリース】リチウムイオン電池主要四部材世界市場に関する調査を実施(2022年)~車載用LiB市場の拡大を主な牽引役に成長が続く、今後、部材メーカーは地産地消への対応が課題へ~


株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、リチウムイオン電池主要四部材の世界市場を調査し、民生小型機器用や車載用などのLiBセル用途や主要四部材の出荷動向、国別の設備投資や部材価格の動向などを明らかにした。

1.市場概況
2021年におけるリチウムイオン電池(以下、LiB)主要四部材世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年比181.4%の424億7,884万8,000ドルであったと推計する。
車載用LiB(セル)市場はコロナ禍においても2020年、2021年と成長を続けており、車載用LiBが搭載されるxEV市場は中国、欧州での伸びが著しい状況にある。中国では新エネルギー車(PHEV、EV)の販売台数が300万台を超える規模となった結果、新車販売に占める構成比は10%を超える形となっている。欧州ではOEM(自動車メーカー)各社がxEVのラインアップ強化を推進し、電動車を対象とする手厚い補助金政策が実施された事でPHEV市場、EV市場の成長が続いている。
また、民生小型機器用LiB市場もノートPCやタブレット端末、スマートフォン、電動工具・電動二輪等のパワー系セル等の成長が続き、2021年は前年を上回る成長率で推移した。

2022年以降、民生小型機器用LiB市場は成長率の鈍化が見込まれるが、車載用LiB市場は成長を見込む。引き続き車載用セル向け需要を主な牽引役として拡大し、2022年のLiB主要四部材世界市場は前年比140.8%の598億917万7,000ドルになると予測する。なお、2021年に入り、Li(リチウム)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)等の資源価格急騰で電解液・電解質、正極材の価格が大幅上昇となった。2022年では一部のLiB部材で値が下がる動きはあるも、全体では横ばいから上昇が見込まれる。

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000268553&id=bodyimage1

2.注目トピック~LiB主要四部材全てで中国勢がシェア拡大、日韓勢は縮小へ~
2021年のLiB主要四部材世界市場における国別出荷数量シェアをみると、中国は正極材、負極材、電解液の3部材で8割を超える状況となっており、セパレーターでも7割まで上昇する形となっている。これは車載用LiB市場の成長の影響によるものとなっており、2021年の中国LiB部材メーカーによる出荷の伸びは、LiB主要四部材それぞれで前年比190%から同219%での推移となっている。正極材(前年比201.5%)に関してはLFP(リン酸鉄リチウム)採用の急拡大が寄与していると見られ、四部材の中で最も伸び率が高いセパレーター(同219%)に関しては需要がハイエンドからミドル~ローエンドまで全てのセル(電池)で拡大した事が背景にあると見られる。
なお、2021年のLiB主要四部材の出荷数量において、正極材と負極材に関してはセル側の需要規模から算出される需要(Whあたりの想定必要量)と実際の出荷数量との乖離が大きい状況にある。負極材に関しては中国負極材メーカーからも同じ認識との見解が聞かれる状況にあり、正極材に関してはLFPの急拡大に関して実需要以上の伸びになっている可能性が考えられる。上記の乖離(ギャップ)によっては、今後、中国におけるLiB材料需要、出荷量に影響を及ぼす可能性もあると考える。

日本は2021年もLiB四部材全てで国別で2番目の地位を維持しているものの、いずれも構成比率が下落傾向にある。出荷量国別シェアが比較的高いセパレーターも、2021年で構成比20.0%となっており、正極材、負極材は10%を切る形となっている。

韓国も2021年は、LiB主要四部材の全てで構成比を下げる形となっている。負極材が前年割れの出荷数量となっている以外は、前年を上回る出荷数量となっているものの、中国勢の伸び率には至らない状況である。引き続き韓国セルメーカーがメインの供給先となっており、韓国セルメーカー側の能力増強の動きに併せて、韓国LiB部材メーカーも積極的な設備投資の動きを見せている。

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000268553&id=bodyimage2

3.将来展望
今後、xEVは中国市場に続き、欧州、北米市場でも拡大する見通しで、欧州の「電池規則案」や米国「インフレ抑制法案」などの政策動向を踏まえ、現地でのLiB部材の生産体制構築も徐々に具体化し始めている。一方で、資源価格の急騰によるLiB部材価格の上昇により、車載用LiBの価格はかつて望まれていたようなコストダウントレンドが描き難い状況が見られる。
LiB部材価格の上昇トレンドは、2023年以降には落ち着きを見せる可能性があるも、「地産地消」を条件とするLiB材料生産の在り方は一時的にせよ部材価格上昇の要因に繋がる側面を有し、今後のxEV市場成長の足枷になり兼ねない見込みである。
LiB部材メーカーは長期的なxEV市場成長を見据え、まずは車載用LiBのサプライチェーン入りを果たす事が重要ではある。但し、足元では世界的な景気後退リスク上昇の動きも強まりを見せる中、xEV市場、並びに車載用LiB市場の今後の成長性を慎重に見極めつつ、材料調達先の調整や設備投資判断を行うことが重要になると考える。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3104

調査要綱
1.調査期間: 2021年11月~2022年9月
2.調査対象: リチウムイオン電池部材メーカー(日本、韓国、中国、欧州等)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2022年9月30日

お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press

株式会社矢野経済研究所
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配信元企業:株式会社矢野経済研究所
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