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2018年に大麻を規制緩和した国と地域について。1月1日の米国カリフォルニア州(嗜好用)に始まり、12月21日の米国農業法改正(産業用)まで。



WHO(世界保健機構)のECDD(依存性薬物専門家委員会)が史上初めて大麻草およびその関連物質を今年6月と11月に検討する中で、新たに大麻に規制緩和をした国と地域があります。日本臨床カンナビノイド学会(新垣実理事長)は、2018年に大麻に規制緩和をした国と地域の調査結果を2018年12月20日の本プレスリリースにて発表しました。

調査結果の概要は、政府発表のみのものは除いて、医療用大麻の合法化は、10地域、嗜好用大麻の合法化は、6地域と2地域で最高裁判所判決、産業用大麻は、米国の6州と連邦法である農業法2018で全米で合法化され、オーストラリアの一部とニュージーランドで規制緩和が進展しました。

本調査では下記の用語で統一して表記した。

医療用大麻:
大麻草を医療目的で使用するハーブ(生薬)療法の一種。大麻草に含まれる独特の成分「カンナビノイド」を抽出し、製剤化したカンナビノイド医薬品とは区別される。

嗜好用大麻:
大麻草を嗜好目的で使用すること。合法化した地域では、タバコやアルコールのように成人のみを対象として、課税管理する制度を採用したところがほとんどである。

産業用大麻:
大麻草に含まれ、向精神作用のあるTHC濃度が1%未満の品種を栽培し、そこから衣類、食品、化粧品、建材、製紙、飼料、敷料、自動車用品などの産業用途に使用すること。嗜好用や医療用のマリファナと区別するために、ヘンプ(Hemp)と呼ばれています。

〇調査結果 18年12月20日時点(政府発表のみのものは除く)

1月1日 ・・米国カリフォルニア州 ・・嗜好用大麻の販売開始
1月9日 ・・米国ニューハンプシャー州・・嗜好用大麻の所持合法化、販売の立法は別途検討へ
1月22日 ・・米国バーモンド州・・州議会の条例により嗜好用大麻の所持合法化(〇2004年医療用)
3月1日 ・・ギリシャ ・・医療用大麻の栽培と加工の法律を制定 11月19日に最初の免許発行
3月21日 ・・米国ユタ州・・ 医療用大麻の合法化
3月23日 ・・マルタ・・ 医療用大麻の合法化
4月5日 ・・日本三重県・・ 神事用大麻の栽培を伊勢麻振興協会に許可
4月13日 ・・米国アラスカ州・・ 産業用大麻を合法化(〇1998年医療用、〇2014年嗜好用)
4月23日 ・・米国オクラハマ州・・ 産業用大麻の合法化
4月26日 ・・米国カンザス州・・ 産業用大麻の合法化
4月27日 ・・米国ニューメキシコ州・・ 産業用大麻の合法化(〇2007年医療用)、17年法案を州最高裁判所の判決で合法化が確定
4月27日・・ ジンバブエ・・ 医療用大麻の合法化(レソトに次ぐアフリカで二番目)
5月14日 ・・米国アリゾナ州・・ 産業用大麻の合法化(〇2010年医療用)
6月26日 ・・米国オクラハマ州・・ 医療用大麻の合法化
6月28日 ・・ルクセンブルク・・ 医療用大麻の合法化
8月8日 ・・オーストラリアクイーンズランド州・・ 産業用大麻法のTHC基準を引き上げ(0.5%→1.0%)
8月10日・・ 米国北マリアナ諸島・・ 医療用、嗜好用、産業用の一斉合法化 (知事署名待ち)
9月18日・・ 南アフリカ・・ 最高裁判所判決:嗜好用大麻の使用を合法化
9月22日 ・・オーストラリア西オーストラリア州・・ 産業用大麻法のTHC基準を引き上げ(0.35%→1.0%)
10月17日 ・・カナダ ・・・嗜好用大麻の販売開始(〇1998年産業用、〇2001年医療用)
10月30日 ・・メキシコ・・ 最高裁判所判決 嗜好用大麻の合法化を90日以内制定へ
11月1日・・ イギリス・・・ 医療用大麻の合法化/販売開始
11月1日 ・・米国 ・・・CBD医薬品のエピディオレックスを発売(世界初)
11月6日 ・・米国ミズーリ州・・ 医療用大麻の合法化(33州目)
11月12日 ・・ニュージーランド・・・ 産業用大麻のヘンプシード食品の流通が合法化
11月23日・・韓国 ・・・医療用大麻の合法化(但し、医薬品のみ)
12月3日 ・・米国ニュージャージー州 ・・産業用大麻の合法化(41州目)
12月6日 ・・米国ミシガン州 ・・嗜好用大麻の合法化(10州目)店舗販売は2020年からを予定(〇2008年医療用)
12月21日・・ 米国・・・ 農業法2018(19年1月1日施行)産業用大麻をTHC0.3%未満と定義 規制物質から外す



【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000187079&id=bodyimage1

Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。121種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。

CBD:
カンナビジオール。121種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告している。

カンナビノイド医薬品エピディオレックス(Epidiolex):
GW製薬の米国子会社Greenwich Biosciencesが開発した難治性てんかんの一種であるレノックス・ガストー症候群(LGS)またはドラベ症候群に関連する発作の治療のための抗てんかん薬(AED)である。Δ9-THCをほとんど含まず、CBD含有率が高い大麻草のクローン株からCO2抽出された植物性原液(BDS)から作られたものであり、1本100ml中に10000mg(10%濃度)のCBDを含有する。2歳以上の患者を対象とし、20mg/kg/日を標準摂取量としている。

日本の大麻取締法(1948年制定):
大麻取締法による規制によって、製薬会社がつくるカンナビノイド医薬品及びハーブ(薬草)利用としての医療用大麻のどちらも違法であり、臨床試験の研究目的ですら認められていない。
日本政府の公式見解は、平成28年の第190回国会(常会)質問主意書及び答弁書に詳しい(下記参照)。
https://www.nippon-yakushokuken.com/diet_190/

日本臨床カンナビノイド学会:
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会;International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。2018年7月段階で、正会員(医療従事者、研究者)67名、賛助法人会員11名、 賛助個人会員22名、合計100名を有する。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/


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