米作りを大幅に省力化させるため、ドローンを使って空中から種もみをまく体験会が青森県六戸町で行われた。苗作りや田植え機で苗を植え付ける労力などを削減できるという。新たな田植えの可能性に期待する地元農家や町職員など約30人が、真剣な様子でドローンが飛び立つ様子を見守った。
体験会は10日、六戸町赤石地区の赤石義周さん(50)が所有する50アールの水田で実施された。先進技術を活用した「スマート農業」を手がけるオプティムアグリ・みちのく(青森市)の社員が種もみが入ったタンクをドローンにセットすると、間もなくドローンは自動で飛行し、水田の両端を往復しつつ高さ1・5メートルから種もみをまいた。
水田脇に設置した固定局を通じて衛星通信で位置情報を得るため、ドローンの操縦は不要。種もみを水田へ筋状にまくのが特徴で、内蔵されたローラーで種もみを押し出す打ち込み方式を採用している。
ドローンを使った種まきに要する時間は10アールあたり10分ほど。育苗や苗の運搬、田植え機への積み込みも含めて1日がかりだった従来の「移植方式」に比べ、作業時間を大幅に短縮できる。地元のJAおいらせ六戸支店によると、同町古里地区の水田で昨年行った実験でも、例年と比べ遜色ない収穫があったという。
一連の作業を見守った赤石さんは「作付面積の拡大や経費の削減など利点や可能性を感じた。結果が良ければ増やしていきたい」と話した。【松本信太郎】