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大学出ても就職できず…困窮の外国人らを支援 神戸のシェアハウス


 生活に困窮したり、住む場所がなくなったりした外国人を受け入れ、衣食住や就労の支援をするシェアハウスがある。公益財団法人PHD協会が運営する「みんなのいえ」(神戸市長田区)。2020年から続けているサポート活動で支援してきた外国人らは延べ1000人以上。同協会の坂西卓郎事務局長は「支援が行き届かない外国人にも、公平な機会を与えることが自分たちの役割だ」と話す。【澤俊太郎】

 シェアハウスに入居するヨルダン出身のムハマド・アブ・ユーセフさん(38)は3月29日、同協会のスタッフと近くのスーパーに買い出しに向かった。前日に入居してきたばかり。「宗教の関係で豚は食べられない」「牛乳は必要か?」。スタッフと話し合いながら、食料をかごに入れていった。

 ムハマドさんは18年に留学生として来日。神戸大に入学し、有機化学を専攻した。24年3月に大学院を卒業したが就職活動は困難を極めた。多くの会社では面接を断られ、その理由も教えてもらえなかった。学生寮に住んでいたため、卒業したら退去しなければならない。「家を探しても初期費用が高く、働いていないと難しい。このままではホームレスになる」と危機感を抱いていた時、知人にこの施設を紹介された。

 施設では住む場所を提供し、フードバンクを活用した食料支援、貯金や自立を促すためにアルバイトを紹介するなどの就労支援もしている。ムハマドさんは2カ月間を目安に入居し、就職活動を続けるつもりという。「手を差し伸べられて、本当に助かった。自分も将来は人を助けたり、サポートしたりする仕事を日本でやりたい」と力を込める。

 PHD協会は1981年に設立。アジアや南太平洋地域から農業や保健などについて学ぶ研修生を招くとともに、食や住まい、仕事などに困難を抱える在日外国人への支援をしてきた。難民の支援方法なども模索していた矢先、新型コロナウイルス禍で生活に困窮する外国人留学生などが増加。こうした事態を受けて、2020年10月にシェアハウスという形でサポートを開始した。3階建ての家で、最大9人が入居できる。衣食住のサポートのほか、共同生活の心得や掃除の指導などもする。

 入居の相談にはさまざまな事情を抱えた外国人が訪れる。困窮して家が借りられなかったり、パワハラを受けて逃げ出してきたりした技能実習生もいる。軽犯罪で警察に捕まったものの、帰る場所も家族もいないため、シェアハウスで引き取ったケースもあった。このシェアハウスでは、これまで21カ国、延べ1011人(23年12月末時点)の支援をしている。

 施設長を務める濱宏子さん(63)は「できることは限られているが、セーフティーネットとして手を差し伸べ続ける場所でありたい」と語った。

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