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唐十郎さんの世界は「はまる沼」 アングラ演劇を確立、強い支持


 4日に84歳で亡くなった劇作家・演出家・俳優の唐十郎さんは1960年代、天井桟敷の寺山修司らとアングラ(アンダーグラウンド)演劇のジャンルを確立し、日本の演劇史に大きな足跡を残した。

 羽田闘争(67年)や東大・日大闘争(68年)、新宿駅西口地下広場の反戦フォーク集会(69年)など、社会への若者たちの異議申し立てが相次いでいた時代。「常に状況の真っただ中にいるということを演じながら感知できるような芝居をしたい」との唐さんの思いが込められた状況劇場は、俳優個々の肉体の特性を前面に押し出した「特権的肉体論」の思想とあいまって、若い世代から強い支持を得た。

 共に社会を巻き込んだ活動をし、69年に早稲田小劇場で唐さんの「少女仮面」の初演を演出した劇団SCOT主宰の鈴木忠志さん(84)は「傑出した才能を持った演劇人が、この世を去ってしまって、とても寂しく感じる」と悼んだ。

 「ぼくは当世の若者に焦点を当て、挑発すべく書いている」とした唐さんが状況劇場解散後に、若い俳優たちとともに作ったのが劇団唐組。その草創期から携わり、現在は座長代行を務める劇団員の久保井研さん(61)は唐さんの世界を「深みにはまる沼のようだった。知れば知るほど、どういう人か分からなくなる。目指す山というより、はまる沼でした」と振り返った。「唐さんは人と人との絡み合いを書きたい人だった。人間くささを、とても詩的にメタファーに置き換えてセリフにしていました」と述べる。

 唐さんが亡くなった翌日の5日は、東京・新宿の花園神社で催される劇団唐組の紅(あか)テント公演「泥人魚」初日。「とにかく観客が待っている。何があっても芝居は打つんだ。飯を食うように芝居をやるんだ」との唐さんの言葉を胸に、予定通り公演は続ける。久保井さんは語る。「唐さんは、このテントと共にいる。何より芝居の好きな人だったので、客席の後ろから見てくれていると思います」【広瀬登、濱田元子】

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