栃木県那須町の河川敷で夫婦の遺体が見つかった事件で、死体損壊容疑で逮捕された指示役とみられる男性が「4月に入ってから、遺体の処理を上から指示された。死亡した夫婦とは面識がない」と供述していることが、捜査関係者への取材で判明した。警視庁と県警の合同捜査本部は、より上位の指示役がいるとみて、男性から押収したスマートフォンを解析するなどして調べている。
死体損壊容疑で逮捕された住居・職業不詳の佐々木光容疑者（28）は、16日未明から朝までの間、平山綾拳（りょうけん）容疑者（25）＝死体損壊容疑で逮捕＝らと共謀し、那須町伊王野の山中の河川敷で、会社役員の宝島龍太郎さん（55）と妻の幸子さん（56）＝東京都千代田区＝の遺体に火を付けて損壊した疑いがある。
捜査関係者によると、佐々木容疑者は「報酬を約束されて、遺体の処理を頼まれた。実行役は平山容疑者が集めたので知らない」などと供述。平山容疑者とは、「2～3月に渋谷で知り合い、下の名前で呼んでいた。SNS（ネット交流サービス）で連絡を取り合っていた」と説明しているという。
また、佐々木容疑者は平山容疑者のスマホについて、「上に指示されて回収し、指定されたコインロッカーに入れた」と供述。佐々木容疑者は28日に那覇市の那覇空港で身柄を確保された際、スマホを2台所持していた。捜査本部はスマホを解析して、供述の裏付けを進める。
平山容疑者は、遺体が発見された当日の16日未明、東京都品川区内の居酒屋で佐々木容疑者と会っており、そのときに「千数百万円の報酬を受け取った」と供述しているという。
平山容疑者は15日夜、品川区内で知人2人にセダン型の乗用車を引き渡した。捜査本部は、この2人が16日未明に品川区内の空き家のガレージで夫婦を暴行し、セダンに乗せて栃木県に向かった実行役とみており、27日に逮捕状を取り、指名手配している。【岩崎歩、菅健吾、朝比奈由佳】
