工作機械に搭載された軍事転用が可能なプログラムを中国企業に提供したとして、愛知県警は26日、名古屋市緑区の貿易会社の元社長で中国籍の男性(当時58歳)=死亡=と、法人としての同社を外為法違反(無許可役務取引)容疑などで書類送検したと発表した。男性は2018年以降、プログラムの性能を実際より低く偽って工作機械約310台を中国企業に輸出していたとみられる。
書類送検容疑は男性は22年1~2月ごろ、中古工作機械に搭載された制御プログラムの性能を低く偽った輸出関連書類を作成。男性と同社は同2~3月ごろ、経済産業相の許可を得ずに工作機械20台を輸出し、核兵器開発に転用される恐れがある同プログラムを中国浙江省の企業に提供したとしている。
県警外事課によると、輸出されたのは自動車の部品を作る工作機械。搭載されたプログラムによって精緻な部品を作ることが可能となり、ウラン濃縮用の遠心分離機の製造もできるという。輸出された20台が軍事転用された事実は確認できていない。
男性は22年6月に書類の偽造について自首したが、その約1カ月後に死亡した。同課は男性が死亡した経緯を明らかにしていない。【山下俊輔】