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月面着陸「ぎりぎり合格60点」 太陽電池動かず、バッテリーは数時間


 「月面への道が開けた」。小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」が日本初の月面着陸に成功した20日未明、相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスであった記者会見で、山川宏理事長はそう胸を張った。一方で、太陽電池が発電できないアクシデントもあり、歴史的快挙の割に笑顔は少なめ。JAXA宇宙科学研究所の国中均所長からは「ぎりぎり合格の60点」と辛口評価も飛び出した。

 SLIMは20日午前0時ごろ、高度約15キロから最終降下を開始。約20分後に月面に到達するまで、その位置や姿勢などのデータをリアルタイムで表示する管制室のモニター映像が動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信され、未明にもかかわらず国内外の20万人以上が見守った。

 午前2時10分ごろから始まった記者会見で、国中所長は「探査機は地球からのコマンドを正確に受信し、反応している。軟着陸に成功した証左」と強調。目玉に掲げた世界初のピンポイント着陸についても「個人的には実証できたと考えている」と自信を見せた。山川理事長は「今後の持続的な月探査にとって重要な技術。日本の国際競争力の獲得につながる」と語った。

 一方で、着陸直後に全てのデータを確認したところ、備え付けの太陽電池が動いていないことが分かった。自前のバッテリーがもつ数時間のうちに、月面降下時の画像やデータを地球に送る作業を優先させた。

 こうしたアクシデントもあり、国中所長は「辛口だが、合格ぎりぎりの60点」と自己評価。その表情が緩む瞬間は少なく、報道陣から「もう少し喜んでもよいのでは」と突っ込まれる場面もあった。

 宇宙科学研究所の藤本正樹副所長は「今使える時間にできることを考えなくてはとじりじりして、なかなか笑顔になれない」と胸中を明かした。管制室で作業する30~40人の関係者も同様の反応だったといい、「ゴールはピンポイント着陸の成功(の確認)。喜ぶのは今ではない」と語った。

 SLIMのバッテリーは20日中にも切れる。しかし、太陽の向きによってパネルに光が当たり、太陽電池が復活する可能性もあるという。国中所長は「月の夜を越える挑戦もプログラムに想定してあるので期待したい」と述べた。【田中韻】

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