台湾総統選は13日、投開票された。午後4時に投票が締め切られて開票作業が進み、同日夜には結果が判明する見通し。台湾メディアの独自集計によると蔡英文総統（67）の路線継承を掲げる与党・民進党の頼清徳（らいせいとく）副総統（64）が優勢な展開だ。最大野党・国民党の侯友宜（こうゆうぎ）・新北市長（66）や第三勢力・台湾民衆党の柯文哲（かぶんてつ）・前台北市長（64）が追っている。
2016年から2期8年にわたり総統を務める蔡氏は憲法の規定で今期限りで退任する。選挙戦では民進党政権継続の是非が問われた。頼氏は自身がナンバー2を務める蔡政権が中国と渡り合いながら、台湾の国際的地位を向上させたとして成果を強調。侯、柯両氏は政権交代を訴え、対中姿勢や経済問題など現状に不満を持つ有権者を取り込んで、頼氏と激しく争った。
中でも大きな関心を集めたのが外交・安全保障政策だ。蔡氏は台湾海峡の現状維持を掲げ、中国への警戒感を強める米国や日欧などの民主主義国家と連帯を重視することで台湾の安全確保を図ってきた。
一方、米台接近を警戒する中国は、民進党が「台湾独立をたくらんでいる」と蔡政権との対話を拒んできた。総統選の結果次第では中台関係に一定の変化が出る可能性がある。
頼氏は国防力強化や貿易網の多角化などにより現状維持を保つとする構想を提唱。侯氏は中国との交流拡大を通じて信頼関係を築くと主張した。柯氏は既存政治の弊害を訴え、若者らに人気を広げた。
立法委員選（国会議員選、定数113、任期4年）も同日投開票された。結果判明は深夜になる見通し。
新しい正副総統の就任式は5月20日に行われる。【台北・林哲平、鈴木玲子】
