老舗旅館・加賀屋が被災、休業 復旧見通し立たず 能登半島地震

　石川県能登半島を震源とする地震で、最大震度6強を記録した石川県七尾市の和倉温泉にある老舗旅館「加賀屋」は5日、被災し休業していることを明らかにした。

　広報担当の張原滋さん（49）によると、1日の地震当日、加賀屋は233の客室がほぼ満室。張原さんは旅館内の事務所で被災。書類を詰めた人の背丈ほどの本棚が動いたといい、「今まで感じたこのないような揺れだった」と振り返る。

　地震発生後に大津波警報が出たため、宿泊客は徒歩で近くの小学校に避難。上着を取りに行く余裕がなく、浴衣一枚の人もいた。従業員がおにぎりや布団を届け、一夜をしのいでもらったという。

　施設では壁のタイルなどが剥落し、断水が続く。建築業者に依頼し詳しく損傷場所を確認中で、復旧の見通しは立っていない。

　地震前、同旅館は新型コロナウイルス禍を経て予約客が戻り、外国人旅行客も増えている状況だった。張原さんは「楽しみにして来ていただいたお客様に申し訳ない。まだまだ先は見えないが、何とか早く営業を再開したい」と話した。【国本ようこ】