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仏像の盗難で行方不明相次ぐ 和歌山の高校生らが「お身代わり」奉納


 和歌山県立和歌山工業高校と和歌山大の生徒、学生が3Dプリンターなどを使い、西山観音堂(紀の川市)の十一面観音立像(平安時代、市指定文化財)の複製を制作した。文化財を盗難や災害から守るため、県立博物館と両校が協力し、本物を同館で保管して精巧な複製の「お身代わり仏像」を寺社にまつる取り組みの一環。完成した複製は地域住民のもとに届けられ、観音堂近くの地蔵寺に奉納された。【大塚愛恵】

 同館によると、2010~11年に約60の寺社で160体を超える仏像が盗まれたことをきっかけに、「お身代わり仏像」の取り組みが始まった。地域住民が管理するお堂や住職のいない「無住寺」での被害が多く、管理者の高齢化や地域の過疎化などで人目が行き届かないことが背景にあるという。これまで20の寺社に37体の複製を安置してきた。

 十一面観音立像は高さ180センチを超える大きさながら、18年3月に盗まれた。報道をきっかけに転売されていたことが判明し、3カ月後に所在が判明し同館が管理してきた。以前は年に1度の地域の祭りの際に住民らが観音堂の清掃などをしてきたという。

 複製は樹脂製で実物の約半分の大きさ。同高産業デザイン科の生徒7人が3Dプリンターを使って作成し、同大教育学部美術専攻などの学生3人がアクリル絵の具で色を塗った。11月11日には、生徒らが地域住民に複製を手渡し、地蔵寺の住職が魂を入れる法要を行った。

 同高3年の狗巻愛さん(17)は「本体の傷を再現することに苦労した」と話し、同大2年の野田静羽さん(20)は「木目を描く作業が難しかった」と振り返った。受け取った地区の西川泰弘さん(77)は「誠意を持って作ってくれた。10年、20年先まで地域で大切にし、宝物として守っていきたい」と喜んだ。

 十一面観音立像の脇にあった仏像2体も盗難被害に遭い、現在も行方が分かっていない。文化庁のホームページでは情報提供を呼びかけている。

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