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点字ブロック「床色と識別しやすい色」順守徹底へ 福井県が通知


 視覚障害者を誘導する点字ブロックについて、福井県が今後の施設整備について「(歩道や床と)識別しやすい床材に限る」とする県の条例を順守するよう通知していたことが、30日までに分かった。県内では道と同系色のブロックが敷設されているケースが多く見られるためで、当事者からは早急な対応を求める声が上がっている。現場を取材した。【国本ようこ】

 10月24日の昼下がり。7月に完成したばかりの福井県立大かつみキャンパス(同県小浜市)を訪れると、研究スペースや事務室が設置されている棟は、入り口に至る点字ブロックは黄色だが、ドア内から事務室までの通路はグレーの床と同系色の点字ブロックが敷設されていた。私は昨年から点字ブロックの取材を続けているが、話を聞いた日本視覚障害者団体連合組織部長の「グレーの床にグレーの点字ブロックは高齢者にも見えにくい。『足を滑らせた』という声も寄せられた」との言葉を思い出した。

 県は1996年、「福井県福祉のまちづくり条例」を制定。点字ブロックの整備基準を「色等により周囲の床材と識別しやすい床材に限る」としている。しかし、県道沿いの歩道や県庁前など人通りのある場所でも、道と同系色の点字ブロックの敷設が見られる。視覚障害者からは不安の声が上がっていることを踏まえ、私は昨年8月、「点字ブロックに盲点/同系色『見分けにくい』」という見出しの記事を執筆し、全国版に掲載した。

 それから1年。県立大かつみキャンパスのように、新たに設置された点字ブロックの状況も変わらない中、今年9月の県議会で、動きがあった。山岸みつる議員(ふくいの党)が毎日新聞の記事を取り上げた上で、見やすい点字ブロックの重要性などについて質問。杉本達治知事は「これから新設や補修がかかるようなところは、黄色を中心にしながらコントラストをはっきりする。既設の歩道などは、修繕の前倒しをするとか工夫をしながら、できるだけ早く、全体的に整備ができるようにしていければと考えている」と話した。

 これを受け、県障がい福祉課は10月10日付で、今後整備する施設において、条例施行規則に定める整備基準を確認することや、既設の点字ブロックで基準を満たさない箇所については改修などのタイミングで修繕を行うことを各部局に求める通知を出した。県立大かつみキャンパスの今後の対応について、担当する県公共建築課は「(同系色の点字ブロックは)光の反射効果で見やすさを確保できるとし採用しているが、今後の整備にあたっては、利用者目線での配慮が最も重要。(明暗のコントラストを示す)輝度比なども視野に入れて対応し、改修等のタイミングでより配慮したものに改修していく」とのコメントを出した。

 点字ブロックと床の色を変えるのではなく、光の反射で見やすさを考慮する方法は近年、全国的に普及してはいる。だが、生まれつきの弱視で視力は0・02程度という福井市在住の女性(70)は「光の反射があっても床と同系色はわかりにくい。弱視者は見えないなりに、目からの情報に頼っている。点字ブロックははっきり床と違う色にしてほしい」と訴えた。

 一度施設や道路を整備すれば、その後の改修は二度手間になり費用もかかる。県立大かつみキャンパスの点字ブロックが同系色である理由を県公共建築課に取材した際、「(条例には)黄色とはどこにも書いていない」と話す職員もおり、視覚障害者の声との隔たりを感じた。県には、当事者目線に立った取り組みが期待される。

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