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原因不明の川崎病 コロナ流行後3分の2に激減 解明の手がかりに?


 乳幼児を中心に発症し、全身の血管に炎症が起きる川崎病の患者数が、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)以降、3分の2に激減したことがNPO法人日本川崎病研究センターの調査で判明した。川崎病は1967年に故川崎富作氏が報告し、いまだ原因が分からない。患者数の変化から、病気の原因を解明する新たな切り口につなげようと、専門家が調査を進めている。

 川崎病は、主に5歳未満の子どもがかかり、全身の血管に炎症が起きる。高熱や両目の充血のほか、イチゴのように舌が真っ赤になったり、全身に赤みを帯びた発疹が出たりする。

 症状が重い場合には、患者の心臓に血液を送る「冠動脈」にこぶができ、心筋障害を起こす恐れがある。患者の約3%に何らかのこぶができ、後遺症を残すこともある。

 国内では新型コロナの流行が始まる前の2019年までは患者数が増加傾向にあり、19年の患者数は約1万7000人に上った。発病率(0~4歳の人口10万人あたり)は19年が370・8人で過去最多となった。国内発病率は世界で最も高い。

 だが20年以降、患者は激減した。同センターの全国調査によると、20年の患者数は1万1173人で、21、22年も1万2000人を下回った。発病率は20年が250・6人で、8年ぶりに300人を割り込んだ。21年と22年も200人台だった。

 そもそもの発症のメカニズムは分かっていないが、研究者の見立てはある。

 川崎病にかかりやすい何らかの要因を持った人が、細菌などの微生物やウイルスといった「感染物質」にさらされたことが引き金となり、過剰な免疫反応を起こして発症する――というものだ。患者の調査をもとに立てられた仮説で、その感染物質は一つではないとされる。

 同センター理事で、自治医科大の中村好一名誉教授(公衆衛生学)によると、日本では19年までは患者報告は1月に最も多く、次いで8月が多かった。一方で、韓国や台湾は初夏に多い。中村さんは「季節によって患者数が変動することは、(気候に左右される)複数の感染物質が発症に関係しているとすれば説明がつく」と話す。

 新型コロナの流行で、マスク着用や手洗い、ソーシャルディスタンスの確保などの感染予防が徹底されてきた。この影響か、21~22年は季節性インフルエンザの流行はほとんど見られず、小児を中心に流行するウイルス感染症の多くが減少した。

 川崎病の場合はどうしてなのだろうか。中村さんは二つの可能性を指摘する。

 一つは手洗いや消毒を徹底するようになり、川崎病の引き金となる感染物質を洗い流したのではないかというもの。

 もう一つは、外出する機会が減少したことによる影響だ。乳幼児の感染症は保護者が細菌やウイルスを持ち込んで感染させてしまう場合もある。親など同居家族が外出を控えたことで川崎病の感染物質を家庭に持ち込むことが減ったのではないか――という可能性だ。

 新型コロナ感染を恐れて一部で医療機関の受診控えが起きたが、川崎病は発熱症状が続いたり手足が赤く腫れたりするなど特徴的な症状があり、受診しなかった人は多くないと考えられる。

 日本に次いで患者数が多い韓国でも、新型コロナの流行以降、川崎病の患者の減少がみられた。延世(ヨンセ)大医学部などの研究グループによると、20年2~9月の川崎病の患者数は、コロナ流行前と比べて約6割に減少したという。

 中村さんは「20年から3年間の患者数の変化と、地域ごとのコロナの流行状況とを照らし合わせながら、二つの可能性のどちらが影響したのか、明らかにしていきたい。そうすることで、川崎病の原因解明に少し近づけるだろう。社会活動が大きく変化した今年の患者数の動向も注視したい」と語る。【金秀蓮】

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