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日本三大秘境の村で「手作り遊園地」 63歳が込めた思い 宮崎


 日本三大秘境の一つとされる宮崎県椎葉村は、一部が九州中央山地国定公園に含まれ、四季折々に雄大な自然を満喫できる地域だ。村内の尾向(おむかい)地区に住む1級建築士、尾前一日出さん(63)は仕事の傍ら、地元の仲間や子供たちと森に手作りの遊園地を整備している。高さ日本一を自称する28メートルのツリーハウスなどユニークな遊具がいっぱい。取り組みに込めた思いを聞いた。【重春次男】

 ――どんな遊具を

 地域に里山保全の会があり、10年ほど前からメンバーと小学校跡地や周辺の森に遊具を作っています。ワイヤに滑車を付けて滑るジップラインは長さ100メートルから500メートルまで4種類あり、森の木々を縫って滑走するので、スリル満点で子供たちや大人にも人気です。ツリーハウスは高さ12、13、28メートルの三つがあり、28メートルのものは高さ40メートルのモミの木に、5年ほど前に半年がかりでこしらえました。下に階段やはしごを取り付けましたが、結構な高さなので、登るのに度胸がいりますよ。

 ――なぜ遊園地を

 私が子供のころは川で魚を取り、森で木登りして遊び、自然の中での楽しい思い出がたくさんあります。今の時代は、地元の子供たちも勉強やスポーツ活動で忙しく、昔のように川や山で遊ぶ機会が少なくなっています。村に高校はなく、子供たちは中学を卒業すると村を出ます。椎葉には他にない豊かな自然があるので、村にいるうちに古里の自然の素晴らしさ、そこで遊ぶ面白さを知ってほしいと思ったからです。

 ――子供の反応は

 地元の尾向小では、4年前から「森の遊園地」プロジェクトとして総合学習などの授業で遊具を作っています。どんな遊具を作るかは子供たちが考えます。それを私が設計し、一緒に組み立てます。これまで、片方に最高5人が乗れる長さ15メートルの丸太のシーソーなどを作りました。子供も夢を膨らませて積極的にアイデアを出すようになり、創造力を育むのに役立っています。

 ――今後の期待は

 高校に進学した子供たちが、森の遊園地を自慢しようと友達を連れて来ることもあります。私自身、娘2人を自然の中で育てたくて、42歳で椎葉に県内からUターンし、村に設計事務所を設けました。当時、山奥に事務所を構えるのは珍しがられましたが、やる気さえあれば、どこでもネットでメールをやり取りして仕事ができると思いました。椎葉村も過疎化が進みます。森の遊園地が子供たちの愛郷心を育み、一旦は村を出ても、古里に戻って来るきっかけになれば幸いです。村外で身につけた知識や技術を村の活性化に生かしてもらえたら、これ以上の喜びはありません。

尾前一日出(おまえ・かずひで)さん

 県内の建築会社などを経て2002年に椎葉村に帰郷して設計事務所を構え、営業範囲は県内一円。村内では国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された石垣や石段の景観が美しい集落・十根川地区の修理・修景にも携わった。尾前里山保全の会の会長や椎葉村観光協会長を務める。

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