国内最大級の歓楽街、東京・歌舞伎町の大久保公園（新宿区）周辺で買春客を探す女性を巡り、警視庁保安課は3日、9月末までに売春防止法違反（客待ち）容疑で80人を検挙したと発表した。この時点で前年の検挙者を約30人上回るという。検挙された女性の多くが20代で、歌舞伎町に多くあるホストクラブなどでの遊興費を稼ぐ目的が目立った。大久保公園周辺で売春の客待ちをする女性は「立ちんぼ」などと呼ばれて問題化しており、警視庁は取り締まり強化に合わせ、摘発実態を初めて公表した。
3年連続増 摘発実態を初公表
保安課によると、大久保公園周辺で買春客待ちをしていた女性の検挙者数は、2020年23人▽21年34人▽22年51人で、3年連続で増加している。今年は9月に取り締まりを強化し、1カ月間で35人を客待ち行為の疑いで現行犯逮捕した。今年は9月末までの検挙者数だけで、統計を公表した過去4年間で最多だった19年（53人）を上回る状態となっている。
9月に逮捕された35人の年齢は21～46歳で、うち7割が20代だった。売春した理由を聞くと、ホストクラブや男性地下アイドルが働く「コンカフェ」などでの遊興費を稼ぐ目的が多く、つけ払いの「売掛金」の返済のために売春を始めた女性もいたという。
売掛金の返済を巡り、ホストクラブの従業員が客に売春させるケースも起きている。保安課は4月、「金に困っているなら立ちんぼしてみなよ」などと女性客をそそのかして売春させたとして、歌舞伎町のホストクラブ従業員を売春防止法違反（客待ち）の教唆容疑で逮捕した。
警視庁は9月の取り締まり強化の一環で、歌舞伎町にあるホストクラブやコンカフェなど計110店の一斉立ち入りも実施。従業員らに対し、売掛金の回収のために売春や風俗店での勤務を強要した場合、摘発の対象になると警告した。【加藤昌平】
