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ジュリー氏の手紙「ジャニー喜多川の痕跡なくす」 会見は欠席


 ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長(2019年死去)による性加害問題で、ジャニーズ事務所は2日、東京都内で記者会見を開いた。会見では、出席しなかった藤島ジュリー景子氏の手紙が代読された。ジュリー氏は、ジャニー氏の姉で、実質的最高権力者だったメリー喜多川氏との関係について「全く関わることなく、長年仕事をしてきた」とし、「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたい」などとした。手紙の主な内容は次の通り。【デジタル報道グループ】

メリー氏「敗訴は弁護士のせい」

 5月2日、被害に遭われた方と初めてお会いしました。その後もいろいろと実際にお話を伺う中で、どのように補償していくのがいいのか。加害者の親族としてできることを、考え続けております。

 伯父ジャニー、母メリーが作ったものを閉じていくことが、加害者の親族として私ができる、償いなのだと思っております。私は4年前に母親であるメリーから、ジャニーズ事務所を相続いたしました。

 ジャニーズ事務所では、経営的なことは全てメリーが決めていたと思います。ジャニーと私は生まれてから一度も2人だけで食事をしたことがありません。会えば普通に話をしていましたが、深い話をする関係ではありませんでした。

 ジャニーが裁判で負けたときも、メリーから「ジャニーは無実だから、裁判を起こした。もしも有罪なら私たちから騒ぎ立てるはずがない。本人も最後まで『無実だ』と言い切っている。負けてしまったのは弁護士のせい」と、聞かされておりました。

ジャニー氏はある種、天才的に魅力的

 当時、メリーの下で働いていた人たちも同じような内容を聞かされていて、それを信じていたと思います。「そんなはずはないだろう」と思われるかもしれませんが、ジャニーはある種、天才的に魅力的であり、みんなが洗脳されていたのかもしれません。私も含め、良い面を信じたかったのだと思います。

 そして、メリーは、私が従順な時はとても優しいのですが、私が少しでも彼女と違う意見を言うと、気が狂ったように怒り、たたきつぶすことを平気でする人でした。20代のときから、私は時々、過呼吸になり倒れてしまうようになりました。当時病名はなかったのですが、今ではパニック障害と診断されております。私はそんなメリーからの命令でジャニーズ事務所の取締役になりました。しかし、事実上、私には経営に関する権限はありませんでした。そして、2008年春から新社屋が完成した2018年まで、一度もジャニーズ事務所のオフィスには足を踏み入れておりません。

 これは性加害とは全く違う話で、私が事務所の改革をしようとしたり、タレントや社員の環境を整えようとしたりしたことなどで、2人を怒らせてしまったことが発端です。

 ジャニーとも2008年ころから2016年ころまでライブ会場で、すれ違うことはあっても、会話をしておりませんでした。その後ジャニーの稽古(けいこ)場に呼び出されて、久しぶりに話しましたが、それ以降も会ったのは数回です。その期間、ジュニアのデビューや管轄外のグループの解散のプロセスにも関わっておりません。

メリー氏を「極力避けて、生きてきた」

 メリーからは、私の娘である孫に会いたいと切望されました。1年に数回、一緒に食事をすることや、お正月には孫と旅行することが決められておりましたが、私自身はメリーと話をすることを極力避けて、生きてきた人生でした。

 このような説明をすると「うそだ」とか、「親子で仲が良かったのを見たことがある」などと、バッシングする記事が大量に流れるのだと思いますが、近い関係者のみなさま、タレントの方々、社員などであれば、こうした事情を知っていると思います。

 心療内科の先生に「メリーさんはライオンで、あなたはシマウマだから、パニック障害を起こさないようにするには、この状態から逃げるしかない」と言われ、自分で小さな会社を立ち上げ、そこに慕ってくれるグループが何組か集まり、メリー、ジャニーとは全く関わることなく、長年仕事をしておりました。

 このような理由でジャニーがいる稽古(けいこ)場とは全く違う場所で働いており、ジュニアの皆さんとの接点もなかったので、今回、(性加害による被害を)申し出てくださった中で、私がお会いしたことがあるのは9人です。それ以外の多くの方々とはお会いしたことがないのです。今から思えば、ジャニーの親族であり、女性である私に、ジュニアの皆さんはもちろんのこと、タレントの皆さんも、うわさ話をすることや、相談もしにくかったのではないかと思います。

「鈍感」な自分に全ての責任

 今、被害を申告されている方々の中で、私を含めて、現在の役員が、被害者の方々について直接知る情報は在籍していたかどうか、以外にほぼございません。そこで、ジャニーやジュニアと私以上に近い距離で接していた元役員、元社員、そして外部スタッフの皆様には、被害者救済のご協力をぜひお願いできたらと思っております。

 ジャニーズ事務所は、廃業に向かっておりますが、1人たりとも被害者を漏らすことなく、ケアしていきたいと思っております。「知らなかった」ということを言い訳にするつもりは全くありません。メリーの言うことを信じてしまったことや、それを放置してきた自分の鈍感さ、全て私の責任です。

 今回、なぜ私が「100%の株主で残るのか」と多くの方々から批判されました。実は多くのファンドの方々や企業の方々から私個人に有利な条件で買収のお話もたくさんいただいております。

 そのお金で相続税をお支払いし、株主ではなくなるのが、補償責任もなくなり、一番楽な道だ。そう何度も、何度も多くの専門家からアドバイスを受けました。しかし、100%の株主として残る決心をしたのは、他の方々が株主になった場合、被害者に法を超えた救済が事実上できなくなると伺ったからでした。そういう理由で現在の会社には株主100%として残りますが、私は補償とタレントの心のケアに専念し、それ以外の業務には一切当たりません。

納めるべき税金を「全て支払う」

 今後私は全ての関係会社の代表取締役も降ります。ジャニーとメリーから相続をしたとき、ジャニーズ事務所を維持するために、事業承継税制を活用しました。

 しかし、私は代表権を返上することでこれをやめて、速やかに納めるべき税金を全てお支払いし、会社を終わらせます。ジャニーズ事務所を廃業することが、私が加害者の親族としてやり切らねばならないことなのだと思っております。ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたいと思います。

 最後に、ジャニーズ事務所に所属するタレントを、これまで応援してくださった世界中のファンの方々のお気持ちを考えると、本当に本当に申し訳なく、言葉にもなりません。また、関係各所の皆様、ご迷惑、ご心配をおかけして大変申し訳ございません。

 今日、記者会見に出席せず、このようなお手紙を出すことで「逃げた、ひきょうだ」と言われることは重々承知です。

 今回、初めて公にメリーについてお話しました。メリーは、ひどい面が多くあったのですが、優しいときもあり、自分の母でもあり、皆様の前でお話したいことを過呼吸にならずにお伝えできる自信がなく、このようなお手紙にさせていただきました。誠に申し訳ございません。

 改めて被害者の皆様、ジャニーがしたことを私も許すことができません。心から申し訳ないと思っております。また、タレント、社員の皆さんが、これから新しい道に、思いっきり羽ばたき、みんなが幸せになれるよう、それを後押しできるような形になるようにせいいっぱい頑張っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 2023年10月2日 藤島ジュリー景子

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