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廃プラ容器「燃やすより再生資源に」 セブンなどが新技術の実証実験


 マヨネーズのチューブから納豆パックまで、使用済みプラスチック容器をまとめて再生資源に――。セブン&アイ・ホールディングス(HD)などが共同出資するリサイクル企業が、多様なプラスチック容器を回収して再生資源にする新技術の実証実験を始めている。この技術が実用化できれば、これまで大半を発電燃料などとして燃やしていた使用済みプラスチックのリサイクルが大きく進化する可能性があるという。

プラ容器回収、再資源化を検証

 実証実験に取り組んでいるのは、プラスチックの再資源化技術の開発をする「アールプラスジャパン」(東京都港区)に資本参加するセブン&アイやサントリーHD、日清オイリオグループなど12社。

 実証実験では、9月8日から約3カ月間、イトーヨーカドー横浜別所店(横浜市)にプラスチック容器の回収箱を設置。「プラマーク」が付いているお菓子やシリアルの袋、納豆や弁当の容器、食用油や調味料のボトルやチューブなどの使用済み容器を利用客から回収する。

 今回は、千葉県で昨年実施した実験より回収する容器包装の品目と期間を拡大。人口の多い地域でどのような品質のプラスチックがどの程度回収できるかを調べるとともに、それぞれの回収プラスチックが再資源化できるかを検証する。

切り札は「ケミカルリサイクル」

 アールプラスジャパンが取り組んでいるのは、多種多様なプラスチック容器を分解して化学原料に戻す「ケミカルリサイクル」と呼ばれる技術。プラスチックの資源循環を大きく加速させる可能性を秘める。

 プラスチックのリサイクルは、主に①燃やして発電などに用いるサーマルリサイクル②溶かして再生利用するマテリアルリサイクル③ケミカルリサイクル――の3種類がある。

 このうち、サーマルリサイクルは、廃プラを燃やすため資源は循環せず、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出する。マテリアルリサイクルは、再商品化できるプラスチックの種類がペットボトルなど一部に限られるという課題がある。

 一方、ケミカルリサイクルは、廃プラを分解してエチレンやプロピレンといった化学原料に戻すため、再生資源として利用しやすく、化石資源の新たな利用を大幅に抑制できるメリットがある。

全種類まとめて再生、新技術目指す

 プラスチック循環利用協会によると、国内の使用済みプラスチックのリサイクル率は87%(2021年)に上る。このうちサーマルリサイクルが約70%、マテリアルリサイクルが約25%と大部分を占めており、ケミカルリサイクルはわずか数%にとどまる。

 ケミカルリサイクルは、プラスチックの種類に応じた処理が必要で、複数の材料を混ぜて製造されたプラスチック容器を分解するのは技術的に難しいとされてきたためだ。

 そこでアールプラスジャパンは、ほとんどの種類のプラスチックをまとめて分解・再生できる新技術の開発に取り組んでおり、今回のような実証実験を重ねることで、30年の実用化を目指している。

 セブン&アイの担当者は、「ケミカルリサイクルを商用ベースで実用化できれば、これまでリサイクルが難しかったプラスチックの資源循環が進み、地球環境にも貢献できる。今後、プラ容器を回収する店舗や品目を増やしていきたい」と語る。【嶋田夕子】

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