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露天温泉→映画制作→長年放置…再び人気の台湾の銭湯、東京に


 台湾有数の温泉地である北投温泉(台北市)の文化を銭湯で紹介するイベント「いらっしゃいませ 台湾北投㏌東京妙法湯」が開かれている。銭湯「妙法湯」(東京都豊島区西池袋4)で、湯につかったりしながら台湾の温泉文化を体験できるユニークな催しだ。

 1895年に日本に割譲された台湾では、日本人が北投渓谷で露天温泉を楽しむようになり、96年には北投に温泉旅館が開業した。

 1913年には北投公共浴場が建設された。建物は台湾総督府などを手掛けた建築家の森山松之助が設計。1階がレンガ造りで2階は木造、屋根は日本式の黒瓦という和洋折衷の建物で、1階にはローマ風の大浴場、2階には70畳を超す大広間があり、湯上がり後にくつろぐことができた。台湾最大の公共浴場で、イベントを主催した「北投温泉博物館」はその後身にあたる。

 45年の敗戦で日本人が去った後、50年代には、北投で台湾語による映画製作が盛んに行われ、「台湾語映画のハリウッド」とも呼ばれたという。しかし次第に温泉街は陰りを見せ、80年代に衰退。公共浴場も長年放置され、荒れ果てていた。

 94年に地元の小学生たちが郷土学習で訪れて浴場跡を見つけ、地元の文化・歴史研究者らとともに保存運動が展開された。建物は97年に台北市の文化財に指定され、98年に博物館として生まれ変わった。博物館では浴場は営んでいないが、北投温泉の歴史と郷土文化を紹介する。また、北投温泉は再び人気を集め、多くの温泉旅館やホテルが建ち並ぶ。

 9月27日には妙法湯でイベントの内覧会が開かれた。博物館の鍾兆佳(しょうちょうか)館長は「北投の湯の花は、温泉1トンから1グラムしか取れない大変貴重なもの。北投温泉がはぐくんだ文化を、東京で体験してほしい」と話した。妙法湯店主の柳澤幸彦さんが、その湯の花の袋(30グラム)を湯船に入れると、湯の花の乳白色が広がった。期間中、北投湯の花と、北投の老舗漢方薬店が特別に調合した漢方湯の2種類を交互に湯に入れる予定だ。

 休憩スペースには、うちわやラムネ、せっけんなど博物館オリジナル商品を展示。番台の上には台湾語映画のポスター、げた箱の扉の内側には台湾の食や風物などの写真を張って雰囲気を盛り上げている。隣接するコインランドリーでは、同温泉の歴史を紹介し、北投出身の音楽家による弦楽器・月琴の演奏曲などが流れている。

 10月22日まで(営業時間は午後3時~翌午前1時)。月曜日休み。【鈴木玲子】

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