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無観客の客席に向かって踊り続けたフラガール 新たな夢に一歩


 フラガールのけん引役が舞台の第一線から退く。福島県いわき市の温泉施設「スパリゾートハワイアンズ」でダンシングチームのキャプテンを務めてきたラウレア美咲さんが23日、最後のステージに臨む。新型コロナウイルスの感染拡大などに苦悩しながらも、仲間と培った思いを全身で表現し、新たな夢への一歩を踏み出す。

 華やかな衣装をまとったダンサーたちを迎えたのは、約270人の観客の大きな拍手だった。18日夕、引退を記念してラウレアさんが企画・構成した特別ステージ。緊張による手の震えが止まった。客席には名前入りのうちわが掲げられ、涙を流す観客の姿も。「私はもうすぐ引退なんだ」。7月末の引退表明以降、初めて自らの引退を実感した。

 ラウレアさんは北茨城市出身で、中学生の頃に見たフラダンスに魅了された。演劇を学べる福島県立いわき総合高校に進み、フラダンス部を結成。2012年にハワイアンズを運営する常磐興産に入社し、フラガールを養成する常磐音楽舞踊学院の48期生となった。

 19年には71代ソロダンサーに就き、「幸福、平和、友情」という意味を持つ「ラウレア」の名が与えられた。「名前負けしてしまうのではないか」と不安もあったが、命名したダンス教師が後輩たちに印象を聞いて回っていたことを知った。「みんながそう思ってくれていたことがうれしく、その思いに応えたかった」

 しかし、直後の20年、新型コロナが全国で猛威を振るった。ハワイアンズも同年3月ごろから休館を繰り返し、大勢の観客であふれていた客席は、静まりかえった。「お客様があっての私たち」。そう先輩からも教えられてきただけに、戸惑った。それでも、無観客の客席に向かって踊り続けた。その様子を撮影した動画を「ユーチューブ」に投稿すると、80万回再生されたこともあった。

 21年に18代キャプテンに就任してからは、プレッシャーに押しつぶされそうになることもあったが、頼れる仲間たちに支えられながらチームをまとめた。

 東日本大震災や新型コロナなど、フラガールたちは時代の波に翻弄(ほんろう)されながらも進化してきた。ラウレアさんは22年末、ダンサーとしての経験を十分に積んだと判断し、チームのさらなる進化を促すために、後進へ道を譲ることを決めた。フラダンスによる体の表現から、声や文章による表現に挑戦したいという新たな目標もできた。

 今年7月末に引退を発表してからは、ファンや観客から多くの手紙やメッセージが届いた。その中には、ラウレアさんに憧れてフラダンスを習い始めたという園児からの手紙もあり、「笑顔を届けるためにやってきたが、夢や希望も届けられていたことがすごくうれしかった」。

 23日のラストステージは、総勢約40人の仲間たちと舞台に上がる。11年半にわたるダンサー生活の集大成。「今のありのままのチームを見てほしい。感極まって、てんやわんやになってしまうかもしれないが、それも自分。こういう人がキャプテンでよかったねと、ありのままの自分を受け入れてほしい」とはにかんだ。【肥沼直寛】

ラウレア美咲さんのラストステージ

 23日午後8時半~9時10分。スパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市常磐藤原町)のビーチシアターで。公演終了後には、引退セレモニーが行われ、ファンとの交流の時間が設けられる。有料予約席は既に定員に達した。この日のラウレアさんは昼(午後1時半~2時)と夕方(同4時~4時20分)のショーにもソロダンサーとして出演予定。

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