陸上自衛隊郡山駐屯地（福島県郡山市）に所属していた元自衛官、五ノ井里奈さん（23）にわいせつな行為をしたとされる元自衛隊員の第4回公判が12日、福島地裁（三浦隆昭裁判長）で開かれた。強制わいせつ罪に問われた渋谷修太郎（30）、関根亮斗（29）両被告は改めて無罪を主張。2人は2022年10月に五ノ井さんに直接謝罪したが、自らの意思ではなかったとし、事前に自衛隊から「表情や声のトーン、『土下座をしてくれ』と指導された」などと訴えた。
強制わいせつ罪に問われているのは渋谷、関根両被告のほか、木目沢佑輔被告（29）の計3人（いずれも懲戒免職）。起訴状によると、3被告は21年8月3日夜、北海道の演習場で五ノ井さんをあおむけに倒して覆いかぶさり、わいせつな行為をしたなどとされる。
この日は渋谷、関根両被告への被告人質問があった。渋谷被告は、格闘技の技で倒した五ノ井さんに対して腰を振ったことについて「誰も反応しなかったから笑いを取ろうとした」と認めた一方で、下半身の接触については「ありません」と主張した。また、22年9月に陸上幕僚長が記者会見で五ノ井さんへのセクハラを認めたことについては「『事実を認めていないのになぜ謝るんだ』と思った」と当時の心境を振り返った。
関根被告も、五ノ井さんに対して腰を振ったり、下半身を接触させたりといった行為を否定。現場にいた他の元自衛官が「関根被告が五ノ井さんに対して腰を振っていた」と証言したことについては、「臆測だが、自分を早く辞めさせたいと思うなど、恨みを買ってしまった（ためにそのような証言をした）のではないか」と述べた。
公判を終えた後、五ノ井さんは取材に「直接の謝罪を受けた去年の今ごろは、被告たちの思いもくんで『許そう』と思った。だが、（この日の公判では）誠意がなく事実を認めない姿勢で、私自身許すことはなく徹底的に闘いたいと思う」と憤りを見せた。【岩間理紀】
