米沿岸警備隊は、「ハムスターの回し車」と似た構造の自作の「船」で大西洋を横断しようとした男性（51）を連邦法違反（乗船妨害など）の疑いで刑事訴追した。男性が同様の「船」で航行中に沿岸警備隊に止められるのは、過去10年間で4回目。今回は「船ごと自爆する」「自殺する」と脅し、3日間にわたって航行停止を拒否する騒動になった。
沿岸警備隊が南部フロリダ州の連邦地裁に提出した告訴状によると、同隊は8月26日、南部ジョージア州の沖合70カイリ（約130キロ）の大西洋上を航行している男性を発見。男性は「目的地はロンドンだ。フロリダ州で船舶登録した書類がある」と説明したが、書類は見つからなかった。
同隊は「危険な航行」だと判断して3日間にわたって停船を求めたが、男性は「ナイフを持っている。船から追い出すなら自殺する」「船ごと自爆する」などと脅して、停船を拒否。29日になって同隊は下船させることに成功し、フロリダ州の同隊の基地に連行した。
男性は2014、16、21年にも似たような「船」で航行を試みて、沿岸警備隊に止められた。15年には沿岸警備隊から同様の航行をしないように命じられていた。
今回、フロリダに戻った後に刑事訴追されたが、25万ドル（約3700万円）の保釈金支払いなどを条件に釈放された。米メディアによると、事件の処理が終了するまで「海上の船に乗らない」という条件も追加されたという。【ワシントン秋山信一】
