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虐待、服役… 京アニ初公判で明かされた被告の生い立ちや暮らし


 36人の命が奪われた京都アニメーション放火殺人事件から約4年2カ月。京都地裁で5日に始まった裁判員裁判で、青葉真司被告(45)は「当時はこうするしかないと思っていた」と起訴内容を認めた。事件の真相はどこまで明らかになるのか。遺族らが詰め掛けた法廷は緊張感に包まれた。

 京都地裁の101号法廷。午前10時半過ぎ、職員に車椅子を押されて青葉被告が姿を見せた。頭髪を丸刈りにしてマスク姿。事件で自らも重いやけどを負い、一時は生死の境をさまよった。複数回の皮膚移植手術などで回復したが、顔や首にやけどの痕が残る。

 「青葉真司です」。開廷して裁判長に名前を聞かれると、はっきりと答えた。起訴内容の認否を問われた時は、車椅子に座ったまま書面を読み上げた。「こんなにたくさんの人が亡くなるとは思わなかった」と述べたが、小声で聞き取りにくい部分があり、裁判長の指摘で読み上げをやり直す場面もあった。謝罪の言葉はなかった。

 その後に行われた検察側や弁護側の冒頭陳述では、生い立ちや事件に至る経緯が明らかにされた。

 9歳の時に両親が離婚。父親や兄、妹と暮らし、父親から虐待を受けるなどして不登校になった。定時制高校を卒業後、コンビニエンスストアで約8年間働いたが、人間関係に嫌気が差して退職。職を転々として無職になった後、31歳で京アニ作品と出会い、感銘を受けて小説家を目指すようになった。ただし、自身の小説に満足できずに人生を悲観し、コンビニ強盗事件を起こす。その際の取り調べでは「秋葉原無差別殺人犯と同じ心境」と述べ、ガソリン放火にも言及したという。

 刑務所を出所後、生活保護を受給して1人暮らしを始め、「10年かけた渾身(こんしん)の力作」という小説を完成させた。2017年に京アニが募集した「京都アニメーション大賞」に応募したが落選。検察側はこれをきっかけに、京アニや女性監督に憧れていた被告が「金字塔の小説を落選させられた上、京アニや監督にアイデアを盗用された」との妄想を募らせていったとし、インターネットにも不満を書き込んだと明かした。

 今回の事件の約1カ月前には、大宮駅(さいたま市)前で無差別殺人を計画していたことも明らかになった。包丁6本を持って駅に向かったが、断念したという。これについて弁護側は「事件を起こせば京アニが思い知るだろうと考えた」と指摘した。放火殺人事件も「被告の人生をもてあそぶ『闇の勢力』や京アニを消滅させるためだった」と強調し、事件の3日前に自宅のある同市から京都へ向かったとした。

 この日の公判には、35席の一般傍聴席を求めて500人が列を作った。法廷では検察官席の前と、傍聴席の前にそれぞれ透明の仕切り板が設置された。検察官席後方の25席と、88席ある傍聴席の3分の1程度は被害者参加制度を利用した遺族らが座ったため、警備上の理由とみられる。被告は退廷時に何度も弁護人に頭を下げたが、遺族らに視線を向けることはなかった。【安元久美子、鈴木拓也】

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